バードライフアドバイザー2級スキルアップセミナー受講レポート「ペットロスとのつきあい方」

2017年11月6日インコお世話,鳥レポート

バードライフアドバイザー2級スキルアップセミナー

2017年11月3日(金・祝)に、認定NPO法人TSUBASA主催のバードライフアドバイザー(BLA)2級のスキルアップセミナーを受講してきました。今回のセミナーのテーマは、「ペットロスとうまくつきあおう!」でした。そこで、セミナー講義の内容・雰囲気について体験レポートを執筆しました。愛鳥家に訪れる愛鳥との別れ、インコのペットロスについてどのように対応すればよいのか、紹介したいと思います。

 

BLAスキルアップセミナーとは

BLAスキルアップセミナーは、認定NPO法人TSUBASAが認定しているバードライフアドバイザー2級保持者向けの愛鳥に関する勉強会です。BLA2級は、有効期限が設けられており、期限がすぎると、失効となります。失効を防ぎ更新するためには、このスキルアップセミナーに参加して、更新ポイントを貯める必要があります。

なお、更新のためには、合計20ポイントが必要です。今回開催されたスキルアップセミナーに参加すると、3ポイント獲得できます。

 

会場には、70人近くの受講者で大盛況

今回のBLAスキルアップセミナーは元々、参加人数40名程度で、池袋開催の予定でした。しかし、申し込みが始まったとたん、たくさんの申込が殺到し、あっという間に定員に達しました。そこで、会場を四谷に移し、定員数を増員されました。セミナー当日、実際に会場に到着すると、たくさんのBLA2級保持者が参加していました。BLA2級を持っている人はまだ少ないことを考えると、非常に参加率が高いセミナーです。テーマがペットロスということもあり、愛鳥家にとっても関心があるテーマだったと考えられます。

 

「ペットロス」セミナー講師は、藤井佳子氏

BLA2級スキルアップセミナー「ペットロスとうまくつきあおう」

2017年11月3日のバードライフアドバイザー2級スキルアップセミナー「ペットロスとうまくつきあおう」の講師は、藤井佳子氏です。藤井氏は、日本ペットロス協会が認定するペットロスカウンセラーです。その他にもアニマルペットロス療法士などの資格も保持されている、エキスパートです。さらに、バードライフアドバイザー2級も保有し、認知NPO法人のTSUBASAから、ちょうど2011年11月3日に、コザクラインコをお迎えました。残念ながら、2016年の年末に息を引き取られたそうです。

 

ペットロスとは

ペットロスの定義としては、愛着対象の喪失による悲嘆(grief)のうち、ペットに関するものだそうです。愛着対象というのは、家族や恋人、友人などもありますが、ペットロスでは、飼っている愛犬・愛猫、そして、愛鳥といったペットを喪失した場合に発生します。たかが鳥と言う人もなかにはいますが、朝から夜まで同じ空間を過ごす家族です。その家族を失うことで、ペットロスが起こることは当然です。なお、日本ペットロス協会があり、ペットロスの定義が規定されています。

 

ペットロスは起きて当然の正常な反応

ペットロスは最近ようやく社会の認知度も広がってきましたが、まだまだ知らない人も多いです。ペットロスというのは、愛着対象としてのペットを喪失した際の悲しみです。ペットロスは起きて当たり前と考えることが大切です。生き物も、同じ個体はありません。そのかけがえのない存在との別れに悲しみが伴わないはずはありません。ペットロスは病気ではないという医師もいますが、そういった医師は間違っていると考えます。実際に愛するペットとの別れでペットロスが起き、悪化した結果、鬱症状が発症し、日常生活に支障をきたす人も出てきているそうです。

 

ペットロスから回復できない原因

ペットロスには、

  • 正常なペットロス
  • 正常でないペットロス

が存在します。正常なペットロスは、ジョン・ボウルビイという学者が提唱した「悲哀(MOURNING)の4段階」というように段階を踏みます。これは、親のいない子供にヒアリングした結果、発見された4つの段階です。なお、準備期を含めると5段階になります。

  1. 準備期:不安や恐れ、医師の診断が嘘であってほしい
  2. 衝撃期:なくなった瞬間。感覚が麻痺。現実否認。藤井氏も愛鳥との別れで体験したそうです。
  3. 悲痛期:幻覚や幻聴、鳥の場合は幻臭も起こってくる。会社で仕事していれば、気がはれるのは、健康的、正常なペットロスといえる。いつまでも幻覚がはなれないことがある。
  4. 回復期:やっぱりあの子はいないということに受容し、断念・妥協する。回復期は悲痛期と行ったり来たりする。
  5. 再生期:愛鳥との別れを受け入れて、未来に向けて新たな一歩を歩みだします。あの子がいない生活に慣れてはいけないと思うのは、回復期にたどり着けない。

この最後の再生期にうまくたどり着けないのが、正常でないペットロスとのことです。悲痛期をずっと繰り返してしまうことが原因で、新たな一歩を踏み出せずにペットロスから回復できなくなります。

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ペットロスを克服するために大切なこと

ペットロス、インコなどの愛鳥との別れを受け止めるために重要なことは、ペットロスは正常なんだと思うことです。愛鳥との別離は悲しいものです。その悲しみの感情を我慢しないこと。しっかり泣く、泣き叫ぶことが大切と講師はおっしゃいました。さらに、心のなかでつぶやくのではなく、しっかり声に出すことが重要とのことです。

  • 早く立ち直ろうと頑張らないこと。頑張らなくてもいい。
  • 分かってくれる人に話を聞いてもらうこと。
  • 休むこと。会社を休んでも構わない。

ペットロスの時に気を付けたいことは、大きな決断はしないということです。ペットロス中は正常な判断が難しい。新しい子を迎えることもしっかり時間をおき、ペットロスを克服してから、考えることが大切と説きます。

 

ペットロスのリスク度チェック

質問に答えるだけで、ペットロスへのリスクをチェックできる、リスク度チェックが紹介されました。インターネット上でも、「ペットロス リスク度チェック」などと検索すると、質問内容は少し異なりますが、ペットロスが正常でなくなるリスクを診断するさことができます。一度、ご自身のペットロスのリスクを確認してみることをオススメします。

 

研修参加者からのQ&A質問に回答

藤井氏の講演が終了し、認定NPO法人TSUBASA代表の松本氏が登場しました。松本氏は、今回のペットロスの講演を聴いて、以下が印象に残ったとおっしゃいました。

 

  1. 苦しみは消えるが悲しみはきえない
  2. 最後はありがとうと言える関係に
  3. ペットロスは正常
  4. 千の風になっては泣いてください
  5. 愛鳥は生老病死を教えてくれる

※生老病死は、生まれる、老いる、病む、死ぬの4つの苦を意味する仏教用語です。

 

参加者から事前にヒアリングした質問をまとめて行い、藤井氏から回答してもらいました。

  • 心療内科の医師にも、前述したようなペットロスを病気と思っていない人もおり、相談することで逆に傷つけられることも
  • 社会的には、まだまだ愛鳥のペットロスの認知度は低い。「鳥が死んだぐらいで」と心ないことをいう人は存在する。そういった人はきにせず、無視する
  • ペットロスから立ち直るには、我慢せずに悲しむこと。しっかり自分のきもちを声に出して表現すること。そうすることで、悲しみはきえないが一歩進める日がいつかやってくる

 

まとめ・終わりに

今回、2017年11月3日(金・祝)に開催された、認定NPO法人TSUBASA主催、バードライフアドバイザー(BLA)2級のスキルアップセミナーに参加しました。会場には、まだ取得者が少ないBLA2級保持が条件にもかかわらず、「ペットロス」という愛鳥家にとって関心あるタイトルだったためか、たくさんの人が参加していました。

まだ、愛する愛鳥との別離を経験していない人も、いつかペットロスがやってきます。その時の心構えや、どうやってペットロスを克服するかについて、とても興味深い内容でした。

また、周りにペットロスで悩んでいる人がいたら、励ましの言葉をかけることよりも、しっかり話を聴いてあげることが大切と学びました。こういったカウンセリングの知識をBLA2級として、しっかり活用していきたいと思います。

まだまだ愛鳥のペットロスの認知度はとても低いのが現状です。しっかり、鳥のペットロスについて社会の理解が深まることが大切と考えます。