清少納言もインコ・オウムを知っていた!?「春はあけぼの」以外の枕草子

2016年9月22日鳥ビア(トリビア)

清少納言もインコを知っていた_鳥ビア

今日は、鳥ビア(トリビア)的な内容です。インコ・オウムは江戸時代ごろから、海外から輸入され、将軍や大名などの身分の高い人のペットとして飼われるようになりました。しかし、実はもっと昔から、インコやオウムが日本で知られていたことはご存じでしょうか?

 

平安時代の人もインコ・オウムを知っていた?

なんと!平安時代に、すでにその存在は知られていたんです。平安時代の始まりは、「鳴くよウグイス平安京」と語呂合わせで覚えた794年です。今から1200年以上も平安時代から、インコ・オウムの存在を日本人は知っていました。なぜ、そんなことが分かるというと、文献が残っていたからなんです。その文献というのが、日本人なら多くの人が古典の授業で学んだことがある作品に載っているんです。

 

オウムについて記述がある平安時代の文献とは?

その作品は『枕草子』です。

清少納言の枕草子

平安時代に『清少納言』が書いた随筆です。「春はあけぼの」と聞けば、授業を受けたことを思い出したのではないでしょうか。古典の授業で、「いとあはれ」、「いとおかし」という表現が使い、春夏秋冬それぞれの趣深いものを清少納言が書き連ねた文章です。授業で習ったのは、ここまでですが、実は『枕草子』には、まだまだ続きがあり、あのあともさらにいろいろなものについて「いとあはれ」なものを書き連ねていたのです。その中には、鳥についても記載されており、そこでなんとオウム「鸚鵡」が出てきているのです!

 

清少納言の枕草子に書かれた鸚鵡の記述

枕草子に書かれた鸚鵡に関する内容について、紹介します。

古文(原文)

「鳥は、異所のものなれど、鸚鵡、いとあはれなり。人の言ふらむことをまねぶらむよ。」

現代語訳

「鳥は、異国のものであるが、鸚鵡が、たいそう趣深い。人がいうようなことをまねるということだよ。」

上記のとおり、しっかりと「鸚鵡(オウム)」の記述がありました。

 

清少納言は直接オウムを見たわけではない

しかも、鳥についての記述の最初にオウムを持ってきています。記述から、直接オウムが人のことばを真似したところを目にしたわけではなく、伝聞で人から聞いたようですが、その話を聞いた清少納言はたいそう驚いたのでしょう。日常で身近に目にする、ホトトギスなどを後回しにしています。

ちなみに鳥の章では、清少納言は、鶯(ウグイス)がお気に召さないらしく、半分以上がウグイスの気に入らないところをつらつらと書いています。最後は、きれいにまとめていますが、感情がありありと伝わってくる文章でした。

 

実際にはどの種類のインコ?

枕草子というと、授業で習った「春はあけぼの」から始まる季節のよいところを書いた作品という印象の人も多くいらっしゃいます。私も今回初めて知りましたが、実は、それ以外にも様々な項目についても書いていて、鳥、さらにオウムにまで言及しているというなかなかスケールが大きい古典作品でした。

おそらくその時代のオウムとしては、オーストラリアや南米のオウム・インコはまだ発見されていません。そのため、インドや東南アジアに生息するオウムもしくは、アフリカンパロットが該当すると考えられます。正倉院には、シルクロードの終着点として、ヨーロッパやアラビア、中央アジアと交易があったので、その交易での人々の交流により、人のことばを話す不思議な鳥がいることが日本に伝わった可能性が高いのだと思います。

 

まとめ・終わりに

今回、平安時代の日本人もインコやオウムについて知っていたという鳥ビアを紹介しました。古典の授業で必ず習う、清少納言作者の枕草子にも、オウムに関する記述が書かれていました。言葉をしゃべる鳥がいると知り、平安時代の人々を大きく驚いたのだと考えられます。

こうして鳥を通すと、普通の古典とは、違った面白さが見えてきますね。というわけで、本日は、オウムと枕草子にまつわる鳥ビア(トリビア)でした。