【書評】「知っているようで知らない鳥の話」のレビュー オールカラーで鳥ビアな内容が満載
発売日の3月16日から、少し時間が経ってしまいましたが、「知っているようで知らない鳥の話~恐るべき賢さと魅惑に満ちた体をもつ生きもの」を入手しました。
「知っているようで知らない鳥の話」は、「鳥を識る」の著者、細川博昭氏が執筆されました。以前、インコ生活でも「鳥を識る」の出版記念の細川氏のトークショー&サイン会に参加しています。
「鳥を識る」刊行記念、細川博昭氏のトークショー&サイン会の参加レポート
早速ですが、内容の紹介と、書評・レビューを行いたいと思います。
■鳥の能力に関するエピソードが満載
鳥を識るは、学術的な研究内容を掘り下げて、一般の人に分かりやすく解説した本でした。今回の「鳥の話」は、鳥の知られざるすごい能力に焦点を絞っています。インコ・オウム、文鳥から、カラス、ペンギンといった多種多様な鳥類に関する、60以上のエピソードが紹介されています。
- オウムも道具をつくる
- 天才ヨウム・アレックスが人間の概念を理解する
- ブンチョウは現代音楽が嫌い
といった、読んでいて「そうなんだ」、「へぇ~」と興味を掻き立てられる内容がたくさん掲載されています。
■新書サイズでコンパクトで持ち運びも便利
今回の書籍は、細川氏が以前に出版し、人気を博した「インコのひみつ」と同様に、ハードカバーの単行本ではなく、新書のため、持ち運びしやすいサイズです。そのため、かばんに入れて、移動中の電車内や、外出先でも読むことができます。
また、内容の構成も1つのエピソードが2ページから4ページ程度にまとめられています。そのため、ちょっとした合間の隙間時間に読むのにも適しています。
■インコ生活が選ぶ面白エピソード
「知っているようで知らない鳥の話」の中で、面白かった、かつ興味深いエピソードをいくつか紹介したいと思います。
①オウムも道具を作る
こちらは、ヨーロッパの研究機関で飼育されていたシロビタイムジオウムが道具を自作たという研究成果です。これは、研究者があらかじめ手本を示したわけではなく、ケージの外にあるエサを食べたいという欲求から、ケージの中にあるもので道具を作りだし、それを使用してエサを手繰り寄せることに成功し、見事にエサを食べることができたというエピソードです。
このオウムが道具を自作したエピソードが凄いのは、その様子を見た他のオウムたちも学習し、道具を作りだし、ケージの外にある餌を食べることができるようになったことです。
これらのエピソードが示していることは、以下の2点です。
- 鳥も自ら考え、生み出す能力がある
- それを模倣し、方法を共有することができる
まさに鳥が、人間と同じような学習能力と、教える能力を持っていることを証明したエピソードです。野生のカレドニアガラスが道具を使うエピソードは知っていましたが、鳥類全体でも可能ということを示唆した研究で、とても興味深かったです。
②文鳥が持つ音楽の聞き分け能力
こちらは、鳥の音楽に関する能力と好みに関する研究エピソードでとても面白い内容でした。人間だと、元の歌のキーを変えて歌っても同じ曲だと認識できますが、ブンチョウはキーが異なると同じ曲と認識できないそうです。これは、鳥が劣っているということではなく、鳥は、曲の構成・リズム・音程と、あらゆる要素を正確に記憶します。そのため、キーが異なるものは、また異なるものとして、認識してしまうみたいです。
そのため、鳥のトレーニングには、クリッカーなどの常に同じ音を出すことができる道具を使うことが推奨されますが、こういった点で、そちらの方が鳥にとって、合図として理解しやすいことが分かります。
■「知っているようで知らない鳥の話」まとめ
色々と紹介してきましたが、「知っているようで知らない鳥の話」は非常に面白いエピソードが多数載っていて、読んでいて楽しい一冊です。ハンディサイズのため、持ち運びも便利です。インコ生活でも、『ことわざ「閑古鳥が鳴く」の鳥はカッコウ』など、鳥ビアとしてぜひ紹介したい内容がたくさんありました。
鳥好きが読んだら、知り合いにも伝えたくなる鳥の素晴らしい能力の話ばかりです。ネットなどでも見たことあるエピソードもあるかもしれませんが、鳥の専門家の方がしっかりとまとめているので、その中で、再発見があると思います。鳥に興味がある方にはオススメしたい書籍です。なお、書店では、科学コーナー、生き物コーナー、新書コーナーか分かりにくい場合があるため、書店の方に尋ねてみてください。
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