大阪府で野鳥のメジロを違法飼育の摘発!事件の概要と鳥獣保護法についての解説

2017年5月12日鳥ニュース

2017年5月10日に、大阪府在住の50~80歳の12人が、鳥獣保護法で飼育が禁止されている国産のメジロ(目白)を違法に飼育していたとして、大阪府警が容疑者の家宅捜索を実施したと発表がありました。

■メジロ違法飼育事件の概要

今回の事件は、大阪府警による発表です。それを朝日新聞の関西版夕刊一面で報じられました。

国産メジロを違法に飼った疑い 12人の自宅捜索 大阪

  • 容疑者:大阪府の50~80代の男性12人(堺市、和泉市、泉佐野市など在住)
  • 容疑:鳥獣保護法違反の疑い
  • 容疑の詳細:地方自治体の登録を得ずに野鳥のメジロを飼育
  • 警察の対応:容疑者宅を家宅捜索し、メジロ以外も含む、合計・約170羽を押収
  • 今後の展開:押収したメジロを鑑定し、国産であることが判明すれば、容疑者を書類送検

 

■なぜ、容疑者はメジロを飼育?

今回の事件は、大阪の堺市で「鳴き合わせ」が行われていたことが発端でした。鳴き合わせとは、鳥を持ち寄って、その鳥の鳴き声の優劣をつけるイベントです。メジロはよい鳴き声を奏でるため、古くから和鳥として飼育されていました。江戸時代になると、メジロの鳴き合わせが流行したそうです。そういった経緯から、現在でもこういったイベントが行われています。

より綺麗な鳴き声を奏でるメジロには、非常に高価な値段で売買されることがあるそうです。そのため、容疑者たちは、メジロを飼育していた模様です。

メジロ

テレビ朝日のニュースサイトで、今回押収されたメジロの映像を見ることができます。「メジロ“飼育”「鳴き合わせ会」愛好家ら12人摘発」

 

■鳥獣保護法とは

鳥獣保護法というワードが出てきましたが、これは略称です。正式名称は、「鳥獣の保護及び管理並びに狩猟の適正化に関する法律」です。狩猟法などの明治時代にできた法律が改訂され、今日の法律の内容となりました。

対象範囲は鳥だけでなく、ネズミやモグラなどの小型の哺乳類から、狩猟対象となる大型までとなっています。ただ、狩猟対象になりにくい爬虫類や両生類は対象外となっています。鳥獣保護法では、上記対象に対して、以下を目的として掲げています。

  • 鳥獣の保護及び管理
  • 狩猟の適正化
  • 生物の多様性の確保
  • 生活環境の保全
  • 農林水産業の健全な発展

これらの目的を達成するために、環境省が定めた基本方針に沿った鳥獣保護事業計画を都道府県知事が策定し、捕獲、飼養・販売、狩猟のルールが定めています。

  • 捕獲→学術研究・保護などの目的を除き、野鳥や野生の哺乳類は捕獲してはいけません。
  • 飼育・販売→対象の鳥獣を飼育・販売を行うには、都道府県に登録を受ける必要があります。
  • 狩猟→狩猟できる場所・狩猟で使う用具・狩猟可能な鳥獣の種類を規定しています。

この法律では、「保護」だけではなく、「管理」も謳っており、増えすぎて生態系を破壊するような生き物については適正に保つために個体数を減少させる(駆除)等ができる内容となっています。

総務省の「鳥獣保護法」のHPがあり、かなりの文字の量かつ特有の記載ですが、法律の全文を見ることができます。

 

■野鳥の飼育は法律違反

この鳥獣保護法により、日本の野鳥は、飼育が制限されています。もし、飼育が可能な場合でも、自治体への登録が必要になります。メジロも以前は1世帯で1羽を登録し、飼育することが可能でした。しかし、2012年からは、登録許可しないことを管轄省の環境省が発表しました。

そのため、メジロは飼育することは、鳥獣保護法違反になるため、飼うことはできません。仮に2012年以前に登録されていたとしても、1世帯あたり飼養可能なのはメジロ1羽のみです。今回容疑者12人で約170羽ですから、1人当たり15羽近く飼育している計算になります。

なお、違反した場合の罰則として規定されているのは、「一年以下の懲役又は百万円以下の罰金に処する。」です。実際には、違法に飼育する人が絶えず、毎年のように摘発されているそうです。

 

■まとめ・終わりに

2017年5月10日に報じられた大阪の複数人がメジロを違法飼育していた事件について紹介しました。メジロは緑色の綺麗な羽と、白いアイリング、そして綺麗な鳴き声が特徴です。そのため、古来から、飼い鳥として飼われ、鳴き声の良さを競う「鳴き合わせ」などが流行となりました。

しかし、現在では、メジロの飼育は鳥獣保護法により、法律違反となります。野鳥の保護の観点からも、単に人間側が鳴き声を楽しむというのは、やってはいけないことです。法律違反にも関わらず、人間本位の考え方が鳥類の絶滅に追い込みます。ワシントン条約の絶滅危惧種も同様です。

今後の事件の経過もチェックしたいと思います。