生き物の展示やイベントで炎上した事例まとめ~炎上理由・ポイントを解説
移動動物園などの生き物を取り扱うイベントは日本各地で開催されています。中には展示などで不適切な点を指摘され、炎上したイベントもいくつかありました。そこで、生き物に関するイベントで炎上した7つの事例をまとめてみました。どういった展示内容が、どのような理由で炎上したか紹介したいと思います。
動物を扱うイベントの炎上事例をまとめた目的
今回、炎上した生き物の展示やイベントをまとめた目的は、「どういったイベントが炎上するか、事業者に知ってもらうため」です。
何かイベントを開催する際に、移動動物園などの企画がよく挙げられます。小さな子どもたちは生き物が好きな子が多いため、家族連れの集客が見込めます。
もちろん適切な展示や管理が行われていれば問題ありませんが、多くの場合、生き物への配慮に欠けた展示が行われていることが多いです。
そうした不適切な展示を行えば、あっという間に炎上に繋がり、引いてはマイナスイメージにも繋がります。近年は人々の意識も高まり、かつては指摘がなかった展示でも指摘を受けることがあります。
事業者の方にこれまで炎上した事例を見てもらうことで、適切な展示を心掛けてもらう、もしくはそもそも動物展示をやめるという選択をしてもらいたいと思い、今回、炎上事例をまとめ、炎上理由も解説したいと考えました。
あいちトリエンナーレの作品で小鳥100羽放し飼い(愛知県豊橋市)
あいちトリエンナーレは2016年8月~10月の3か月間にわたって、現代美術の展示を行いました。その中の作品にラウラ・リマ氏の作品「フーガ(Flight)」が愛鳥家から批判を受け炎上しました。
この作品のコンセプトは「4階建てのビル室内で小鳥を100羽放し飼い、来場者は鳥のための空間に入っていく体験」というものでした。ここで飼育されていた小鳥の飼育環境の管理が不十分でした。会場を訪ねた人から下記のような指摘がブログで紹介され、多くの愛鳥家が抗議を行いました。
- 不衛生な場所に食事が設置されている
- 温度管理が適切に行われていない
- 小鳥たちが逃げ出せる状況になっている
その結果、飼い鳥のレスキュー団体である認定NPO法人TSUBASAが介入し、改善が行ったうえでの展示が継続されました。
「あいちトリエンナーレ2016」のご報告(鳥の保護活動/TSUBASAみらくる日記)
さらに展示終了後、里親会をTSUBASAが開き、会場で飼育されていた小鳥の大半は里親に引き取られました。里親が見つからなかった鳥もTSUBASAに保護されました。
結果的に会期中に94羽中10羽の鳥が落鳥し、さらに会期中に孵化したヒナのうち4羽が命を落とす結果となりました。
めっちゃさわれる動物プラザ(東京都お台場)
2016年の年末から2017年の年始にかけて、東京のお台場にあるショッピングモール「ヴィーナスフォート」にて、堀井動物園による移動動物園「めっちゃさわれる動物プラザ」が開催されました。
最初に利用者から問題視されたのは、ハリネズミでした。ハリネズミは寒さに弱い生き物ですが、冬の時期にも関わらず、ショッピングモール内の中庭で外気にさらされていました。
【拡散希望】
【動物虐待どうか助けてください】
お台場ヴィーナスフォートで現在開催されている「めっちゃさわれる動物プラザ」で寒さに弱い、多くの動物たちが屋外の極寒を耐え苦しんでいます。ハリネズミ等は最低25℃はないと死んでしまいます。このままでは命に関わります。助けてください pic.twitter.com/OdrlnB9JBN— そるぶれーど (@jyaseinosenritu) 2017年1月2日
ハリネズミの窮状を訴えたTwitter投稿が拡散された結果、炎上しました。炎上を受けて、ハリネズミの展示については自粛されました。しかし、それ以外にも生き物の展示という点で、不適切な部分が多々確認されました。
本件はインコ生活でも現地を確認していますが、他の生き物もハリネズミ同様に寒さに震えていました。中には体調不良になる犬もいました。
炎上後もイベントスペースを提供するヴィーナスフォートにも多数の抗議が行われた結果、会期終了前にイベントの中止が発表されました。幸いにも展示中に亡くなった動物はいないとのことでした。
めっちゃさわれる動物園(滋賀県守山市)
先ほど紹介した移動動物園を手掛ける堀井動物園が、常設型の屋内型動物園「めっちゃさわれる動物園」を滋賀県の守山市にあるショッピングモール「ピエリ守山」にオープンしました。
元々、ピエリ守山は大半のテナントが空き状態となっている「廃墟すぎるショッピングモール」としてネット上で話題になりました。その後の復活施策として、めっちゃさわれる動物園を誘致しました。
前述のめっちゃさわれる動物プラザ同様、めっちゃさわれる動物園でも生き物に展示に対し、不適切な点が多く見受けられました。
その中でも、ライオンのリオンくんが狭い飼育スペースのストレスからか、自傷行為を繰り返していました。自傷行為によってガラスに血が付いている様子がSNSに投稿された結果、炎上しました。
過去にも堀井動物園は飼育施設の火事で、何百もの動物が亡くなった事故を起こしていました。さらに、ワシントン条約の対象動物の無断飼育するなど問題が指摘されていました。
炎上によって多くの抗議が集まった結果、ピエリ守山はテナントの契約更新を打ち切り、めっちゃさわれる動物園は2019年1月に閉園になりました。
スペースワールドの氷漬けの魚展示(福岡県北九州市)
2016年11月に北九州市にあるスペースワールドのアイスリンクで、5000匹の魚を氷漬けで展示するイベント「氷の水族館」が行われました。
こちらは生きた魚を氷漬けにしたものではなく、卸売市場などですでに死亡している魚を仕入れて展示に利用したそうです。多くのユーザーから「死んでいるとはいえ可哀想」、「生き物を娯楽・イベントに使うのはおかしい」、「酷い展示」と批判の声が集まり、炎上しました。結果的には11月27日に主催したスペースワールドが展示イベントの中止を発表しました。
本件は、イベントが始まるまでの準備風景がSNSを通じて紹介されていたことが特徴に挙げられます。SNS担当者の発信を見る限り、この展示が炎上することは全く想定した様子はありませんでした。
SNSで話題になることを意識しすぎたばかりに、行き過ぎた企画になってしまったと推測しています。
けものフレンズがーでん幕張メッセ(千葉県)
2017年10月7、8日に千葉県にある幕張メッセで「Oh!祭だよ!けもの フレンズ が~で~ん!幕張メッセでどったんばったん大騒ぎぃ!」というイベントが開催されました。
けものフレンズとは、様々な野生動物が擬人化して登場する人気アニメです。その高い人気からリアルイベントが開催されたのですが、イベントの中でアニメキャラクターのモデルとなった生き物も展示されていました。
- サーバルキャット
- 仔ヤギ(2頭:白、グレー)
- ウサギ(多数)
- モルモット(多数)
- ひよこ(多数)
- ミーアキャット
- コツメカワウソ
- アメリカンビーバー
- メンフクロウ
※PEACEのブログより
しかし、このイベントは動物愛護管理法が掲げる「広告への第一種動物扱業の登録番号等の表示義務」などが行われていませんでした。
十分な広さのスペースも与えられず、多くの来場者に触れられ、ストレスフルな状態でした。イベントの来場者からも展示について批判する投稿がありました。
このサーバルキャットの表情、動作、どこがリラックスしている状態なの? 動物たちの精神面も何も思いやれない、道具のように扱える業者にレンタルを頼むって、もうやめてください。
動物展示業って、審査とかないそうです。登録さえすれば取れちゃう。
可哀想って言ってる人いっぱいいましたから。 pic.twitter.com/gWwEDoWx8t— まぴい (@whirl45) 2017年10月7日
さらに、当日のイベントでは上記の動物たちが、太鼓や大音量の音楽が流れる不適切な環境で展示されていました。
実際のイベントの様子は、動物愛護団体PEACEのブログにて紹介されています。
けものフレンズがーでん幕張メッセ これのどこが動物ファースト? | PEACE 命の搾取ではなく尊厳を
ミラージュランドのコザクラインコの観覧車(富山県魚津市)
※本件は迅速な対応により、炎上には至っていません
富山県魚津市にある遊園地ミラージュランドでは、2019年3月から観覧車のゴンドラに色々なコンセプトを持たせた「ミラクルゴンドラ」を発表しました。当初は、以下の3つの特設ゴンドラが用意されました。
- 金ピカな「ゴージャスゴンドラ」
- ピンク一色「ガーリーゴンドラ」
- ヒョウ柄の「アニマルゴンドラ」
その後、GWに向け第二弾として用意されたのが「青い鳥ゴンドラ」です。このゴンドラには本物のコザクラインコが入った鳥かごが吊り下げされていました。NHKや地方ニュースでも、ゴンドラに鳥かごが揺られ不安定な状態の動画が紹介され、SNSで批判が集まりました。
しかし、本件はTwitterやHPに中止の問い合わせが相次いだ結果、初日に迅速に中止を決定しました。さらにゴンドラに乗っていたコザクラインコのミーちゃんを飼育員が責任をもって飼うことを発表したことで、大きな炎上には至りませんでした。
こうした迅速な初動対応が炎上対策に有効であることが分かる事例です。
阪急梅田で小松宏誠氏がインコの亡骸を使ったアートを展示(大阪府)
2017年4月に大阪にある阪急百貨店にて、芸術家・小松宏誠氏がアート作品の展示を行いました。その中にセキセイインコなどの遺体を使った作品が展示されていて、愛鳥家から批難が殺到しました。
クレームを受け、死骸を使った作品は展示会場から撤去されました。いくらアートとは言え、亡くなった鳥の遺体を作品にするという、命の尊厳を冒す行為は許されるものではないと考えます。
まとめ・終わりに
今回、生き物の展示などのイベントで炎上した(炎上しかけた)7つの事例を紹介しました。それぞれどういった点が炎上につながったのかについて解説してきました。
炎上は一度起きるとブランドイメージが著しく傷つきます。炎上マーケティングという言葉もありますが、できるだけ炎上は避けるべきです。
もし、生き物のイベントを企画・開催する場合は、これまで起きた炎上事例を参考にすることをオススメします。
ディスカッション
コメント一覧
まだ、コメントがありません