「森林の成長には鳥類の存在が必要で、共生関係にある」という研究結果が発表

鳥ニュース

時事通信のWebサイトに「鳥を絶滅に追いやる外来種ヘビ、森林も破壊か 研究」というニュースが配信されました。

記事概要を説明すると、英科学誌ネイチャー・コミュニケーションズに「Effects of an invasive predator cascade to plants via mutualism disruption」というタイトル論文が掲載されました。この論文のタイトルを日本語に訳すと、「外来種の捕食者が共生破壊するによって、森林へ引き起こす影響」です。

 

■グアム島の外来種『ミナミオオガシラ』

この論文では、グアム島の外来種『ミナミオオガシラ』というヘビに焦点を当てています。このヘビは元々南太平洋が原産でしたが、第二次世界大戦後に、グアムに入ってきました。グアム島には天敵がいなかったため、数を増やし、グアム固有種の生き物たちを襲いました。その結果、グアム島固有の鳥類12種のうち、少なくとも7種類が絶滅に追い込まれました。

 

■グアムの森は鳥の鳴き声がせず、静まり返っている

外来種のミナミオオガシラの勢力拡大によって、グアム島の鳥たちは姿を消してしまいました。その結果、本来の森ならば聞こえるはずの、鳥の鳴き声、さえずりを聞くことができない、静まりきった森になってしまいました。近くのサイパン島では、ミナミオオガシラを水際で防いでいることで、問題になっていません。

絶滅危惧種として残っている鳥類は今も、、ミナミオオガシラによって絶滅の危機に瀕しています。過去には、このヘビをグアムから駆除するために、毒入りのネズミをヘリコプターで投下したという実験もありました。

 

■今回の論文は、鳥類の絶滅が森林に与える影響を研究

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今回の論文では、外来種のミナミオオガシラがグアム島の自然環境に与える影響について調査しています。ミナミオオガシラは、肉食の爬虫類で、グアム島で生息していた鳥類を捕食し、絶滅に追いやりました。それによって、植物の種子を運ぶ存在がいなくなってしまったのです。そのため、植物たちの種子はほとんど近くに落ちてしまい、森林を広げることが困難になってしまいました。共生関係とも言える森林のパートナーの鳥類は、森林の成長に不可欠な存在であったことを、今回の研究で明らかにしました。

 

■鳥が種子を摂取した場合、発芽率が2~4倍上昇

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この論文では、研究の中で、もうひとつの事実を発見しました。それは、鳥が種子を食べて、消化器官を通って体外に排出されることで、種子の発芽する確率が通常の場合に比較して、2~4倍に上昇するということです。その理由は、鳥の消化器官の酵素が、身の固い部分である外側を壊すことに役立っているからです。

 

■おわりに

今回の研究結果は、豊かな森林の発展には、鳥類が大きく作用し、その存在が必要なものであることを示しています。こういった共生関係は、残念ながら失ってから気づくことが多いです。自然環境は、微妙なバランスの上で成り立っていて、1度バランスが崩れると様々なところに影響を及ぼします。ぜひ、今回の研究結果を今後の鳥類の保護に活かしてほしいと思います。