【放送後追記】10月15日のダーウィンが来たは佐渡のトキ特集!絶滅から野生復帰した今に密着
2023年10月15日(日)に放送予定のNHK総合「ダーウィンが来た!」で、佐渡のトキが取り上げられます。
一度は絶滅してしまった日本のトキですが、人工繁殖によって個体数を増やし、新潟の佐渡島での野生復帰を果たしました。
500羽を増えるほどに回復したトキの今の生態に迫ります。
※トキ特集「復活から15年!見えてきたトキの素顔」が放送されたので、放送内容を追記しました。
10月15日放送の「ダーウィン来た」概要
- タイトル:「復活から15年!見えてきたトキの素顔」
- 放送日:2023年10月15日(日)19:30~19:58
- 放送局:NHK総合
- 番組HP:ダーウィンが来た!(NHK)
日本で唯一新潟・佐渡に暮らすトキに一年間密着!野生復帰から15年、新しく見えてきた“たくましくも繊細な”トキの素顔に迫る!さらに、トキの子育ての撮影にも初成功!
日本では一度絶滅したトキ。しかし、2008年に新潟・佐渡で見事野生に復帰。それから15年の今、トキはどうしているのか?1年間密着すると、545羽に増え、群れで自然を生き抜く「たくましさ」とともに、ささいなことにもストレスを感じる「繊細」なトキの素顔が見えてきた。さらに今回、国の特別許可の下、初めて繁殖期の撮影にも成功!オス同士の大ゲンカや天敵の襲撃など、研究者もビックリの貴重映像をたっぷりお届け!
トキはアジア東部に生息する大型の鳥
トキは日本、中国、朝鮮半島、ロシアと東アジアに生息する大型の鳥類です。
ペリカン目トキ科トキ属に分類され、学名は「ニッポニア・ニッポン」と日本が名前に入っています。
トキの大きさは全長約70~80cm、翼開長130cmほどです。
体の羽は白っぽい色ですが、翼の裏側には濃いピンク色の羽が生えているので、ほんのりピンクがかって見えます。
特徴的なのが顔の周りの赤色な点で、実はこの部分は羽が生えておらず、肌が露出しているため赤色となっています。
細長いくちばしを使い、田畑などにいる昆虫やカエルなどの小動物を捕食します。
日本のトキは2003年に絶滅
トキはかつての日本では北海道から本州、四国・九州まで全国各地に生息していました。
しかし、明治時代以降に個体数が減少していき、大正後期から昭和にかけて急減していきました。
その後、佐渡島や能登半島、隠岐には生息が確認され、国の天然記念物に指定されたものの、個体減少に歯止めはかかりませんでした。
その結果、1981年には野生で確認されていたトキ5羽が全頭捕獲されて、野鳥として絶滅しました。
保護されていたトキも2003年には絶滅してしました。
日本で絶滅した生き物は多数いる中、トキは取り上げられることも多かったです。
そのため、日本のトキが絶滅したニュースは大きく報じられ、多くの日本人の記憶に残っています。
トキの個体数が減少した原因は乱獲や、農薬による獲物の減少、さらに餌場となる山間部の水田がなくなったことと推測されています。
農薬や開発などの影響が大きいことから、トキは人間によって絶滅に追い込まれたと言えます。
佐渡の復活プロジェクトでトキが野生復帰
日本産のトキが絶滅する前の1993年から人工繁殖を行う保護活動が新潟の佐渡島で進められていました。
しかし、残念ながら日本に生息していたトキの人工繁殖では、孵化できたものの成育することはできませんでした。
その結果、日本に生息していたトキは絶えてしまいましたが、1999年に中国よりペアのトキが贈られました。
中国産のトキのペアによる人工繁殖に成功し、個体数を少しずつ増やしてきました。
人工繁殖でトキの個体数が回復したことで、次のステップとして佐渡島での野生復帰の取り組みが2008年からスタートしました。
最初のうちは放ったトキは生き延びることができなかったものの、2012年に放鳥した個体同士で野生下で繁殖し、卵の孵化に成功しました。
今では500羽を超えるトキが野生として生活しています。
野生復帰したトキの生態に迫る
今回のダーウィンが来たでは、佐渡島のトキを1年に渡って密着したそうです。
その中で、野生復帰を果たしたトキがどのように暮らしているか、その生態を明らかにします。
群れで暮らしながらも、トキ同士での争いなども行われたようです。
番組予告前に放送されるマヌールのゆうべでは、2組のトキのペアが争う様子が描かれていました。
そうした同じトキ同士のバトルから天敵の襲撃など、研究者も驚きの撮影映像が放送されます。
一度は日本で絶滅して生息する姿を見れなくなった、野生のトキがどのような生態か知ることができる貴重な放送です。
(放送後追記)トキ特集の放送内容
冒頭、色鮮やかな1羽のトキが優雅に飛んでいる映像が流れました。
トキの薄ピンク色は朱鷺色と呼ばれ、江戸時代には日本全国で見られたものの、日本で絶滅したことが紹介されました。
2008年に人工繁殖した個体が野生復帰して15年が経過し、545羽まで増加しました。
特別に許可が下りてダーウィンが来たの「復活から15年!見えてきたトキの素顔」は、2022年の秋から取材がスタートしました。
密着!トキ本来の暮らし
今回の舞台は新潟市からおよそ40キロにある島、佐渡です。
国の特別天然記念物であるトキは学名「ニッポニア・ニッポン」で、まさに日本を象徴するような名前と紹介されました。
野生復帰から15年が経過し、トキは集団でも見かけるようになりました。
トキの群れが降り立ったのは収穫がおわった田んぼです。
泥の中をつついていたところ、ドジョウを捕まえてくちばしでパクリと食べました。
2009年5月17日に放送されたトキの放送回では、野生復帰を果たしたばかりでたった1羽で餌を探していました。
空を飛んでいるとトキよりも体が小さいカラスにも追い立てられる状態でした。
しかし、今は群れで生活しているのでカラスも気にならなくなりました。
トキの個体数が増加して群れで生活するようになったことで安心して餌探しができるようになりました。
夕方になると、寝床となる林に群れで向かいました。
常に群れで生活するトキは野生本来の暮らしで、個体が増えたから明らかになった生態でした。
冬はトキの恋の季節
冬はトキにとってペアを探す恋の季節です。
雪の中でオス2羽とメス1羽の3羽トキがいましたが、一方のオスは羽が少し黒く変化しています。
トキは繁殖期になるとみんな羽の色が変化するそうです。
白い羽のオスがメスに近づいて、好意を表す行動として、くちばしを合わせようとしました。
しかし、白い羽のオスは振られ、もう1羽の黒っぽいトキにメスは近づいて一緒に飛んでいきました。
トキはより黒い色のトキがモテるそうです。
トキの羽が黒いのは水浴びすることで体の色を黒くします。
トキの首の後ろからでる黒い色の物質を水浴びで体全体に塗りつけて黒くして、繁殖期に天敵から見つかりにくくなるそうです。
野生復帰以来、初めての繁殖期の撮影
野生復帰を果たした2008年以来、慎重に保護されてきて、繁殖期の撮影は禁止されていました。
しかし、今回トキの数が増えてきたことで初めて繁殖期の取材許可が下りました。
トキの繁殖期の取材には、最初のずっとトキの観察・分析してきた新潟大学の永田尚志さんと相談しながら取材を進めます。
今回は永田さんが観察中の、山の隣の林と田んぼの林の2つに注目しました。
山の隣の林には、トキの巣が作りそうな木の近くに高性能カメラを予め設置して撮影を試みました。
トキが林の木に巣作りを開始
永田さんの狙い通り、山の隣の林に1組のトキがやってきました。
オスが枝をつついて小さな枝を取り、くちばしに加えて小刻みに動かしながらメスに渡そうとします。
このオスのトキの行動は求愛行動の1つで、メスが受け取るとカップル成立です。
無事メスが小枝を受け取ったことでカップルが成立し、2羽でいつも行動するようになります。
雪解けが始まった3月に、田んぼの林に動きがありました。
1羽のオスが地面で枝を拾ったり、捨てたりして吟味した枝を加えて田んぼの林に運んでいきます。
オスから枝を受け取ったメスは巣を組み立てはじめていきます。
オスとメスのペアで協力しながら、巣作りを行い、早ければトキの巣は3日ほどで完成するとのことです。
田んぼの林に先程のトキ以外にも複数のトキのペアが巣作りのためにやってきました。
そうしてやってきたトキに対し、元々巣作りを行っていたトキが攻撃し始めました。
飛び蹴りからのつつき攻撃、更に空中戦で体当たりと激しい攻撃であとからやってきたトキを追い払いました。
トキは通常群れで行動するものの、繁殖期はペアでのみ行動し、他のトキは邪魔になります。
しかし、あとからやってきたトキは再度翌日も田んぼの林に現れたので、「なぜこの林にこだわる?」というひげじいから質問がありました。
その答えとしてナレーターの方から「子育てに絶好の場所だから」と回答がありました。
民家や田んぼの近い林は人が住んでいるので、天敵に襲われにくいという特徴があります。
さらにこの林は「このトキのカップルが昨年も子育てに成功した場所」だそうです。
トキは子育てが成功した場所を記憶しているらしく、そうした子育てに成功した場所が巣作りの場所で人気を集めるそうです。
しかし、人気を集めた結果、3ペアのトキが巣を作り問題が起きたそうです(後半に紹介)。
トキを見守る 佐渡の人々
野生復帰したトキは今では民家の庭やバス停などでも見られるようになりました。
こうしたトキが野生復帰できたのには佐渡で暮らす人々のおかげと言えます。
佐渡では農家の人たちが農薬を使わずに田んぼを育てており、トキの餌となる生き物を増やそうと取り組んできました。
また繁殖期には大きな音で子育て中のトキを驚かさないように、田んぼでの草刈りを控えるようにしているそうです。
さらに、庭の掃除を行っていても、トキの巣に使えそうな枝は残してあげているとのことでした。
トキの巣作りに試練続々
桜が満開になった4月に、山の近くの林でもトキの巣作りが本格的始まりました。
ペアのオスはメスにせっせと枝を運び、受け取ったメスは巣を組み上げていきます。
オスは巣を作るために多い時で1日50回ほど枝を運んでくるそうです。
ただ、巣を組み立てようと枝を並べていると、落としてしまうアクシデントもありました。
さらに、夜に林で休んでいたトキのペアが目を覚ますと、木の下の方からなにか生き物がやってきて、2羽に襲いかかってきました。
襲ってきたのは夜行性の哺乳類、ホンドテンでした。
幸いにも2羽は逃れることができたものの、二度と山の近くの林に戻ってきませんでした。
一方、トキの3ペアが巣を作った田んぼの林では、隣り合った木にそれぞれ巣が作られています。
食事にでかけたメスの代わりに、オスが巣で卵を温めていると、独身のメス2羽がやってきました。
メスはオスをつついてアピールしたり、巣をつついて破壊しようとします。
多くのトキの巣が集まったことで、ペアではないトキも子育て相手を探すため、集まってきたとのことです。
しかし、それから1ヶ月後に田んぼの林にやってくると、トキたちがいなくなっていました。
3ペアいたトキいずれも巣を放置した状態でいなくなっていました。
永田さんによると、トキの巣が近かったため、ストレスを感じて子育てをやめてしまったとのことでした。
離れた場所で巣作りをすればよいのではとひげじいから意見がありましたが、トキの生息域に対し、トキの数が増えたことで、巣作りの場所が取り合いになっているそうです。
2022年には115ペアのトキが誕生したにも関わらず、16ペアしか子育てに成功しませんでした(成功率13.9%)。
そこで、佐渡の山あいにある食べ物が豊富な地域にもトキを放鳥し、うまく数羽が住み着くようになりました。
さらに数年後には佐渡以外の本州でもトキの放鳥が検討されているとのことです。
トキの足輪はどうやって装着?
佐渡のトキの保護するために欠かせない足輪。
それぞれに個別の番号が付与されて個体識別に役立つ足輪は、いつ、どのようにトキに取り付けられているか、密着取材されました。
トキの足輪は、永田さんや環境省などトキの保護している人々が装着しています。
親鳥が巣から離れたところで、巣のある木にスパイクとロープを頼りに上り、巣にいるヒナを手早く慎重にカゴに入れます。
トキが入ったかごを地上におろして、地上に待機していたメンバーが足輪を装着します。
このようにヒナのタイミングで足輪を装着することで、どのトキか個体識別が可能となります。
永田さんから孵化したトキの情報が
ある日、永田さんからトキが卵から孵ったとの情報がありました。
巣を見ると、なにか小さな物体がもぞもぞと動いています。
それから2週間後、再度巣を訪ねると3羽のトキのヒナがいて、卵から孵って大きくなっていました。
トキの親鳥が戻ると、雛たちは親にアピールして餌をおねだりして、成長していきます。
6月を迎えると、ヒナだったトキは巣立ち、幼鳥として自立して獲物を探しています。
ある幼鳥のトキはドジョウを捕らえたものの、滑るのかうまく食べられず、何度もトライします。
上手に捕まえられるようになると、次のステージとして群れに加わり、生き延びる術を学びます。
「人里を好む彼らが日本各地の大空を舞うことを願わずにはいられません。」というナレーションで締められました。
まとめ・終わりに
今回、2023年10月15日に放送予定のダーウィンが来た!「復活から15年!見えてきたトキの素顔」を紹介しました。
佐渡での人工繁殖による個体回復に成功して野生復帰に成功したトキ。
野生で再び生息するようになったトキがどのような生活を送っているか密着取材した貴重な放送です。
大胆にも繊細なトキたちが繁殖を行う様子も撮影できたようなので、トキの今を知りたい方はぜひダーウィンが来たをご視聴ください。
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