【鳥ニュース】防鳥ネットによる野鳥への危険性~茨城県で天然記念物コウノトリも被害に

鳥ニュース

防鳥ネットを設置することで農作物への被害対策

農業で使用する食害対策用の防鳥ネットによる、野鳥への危険性が話題になっています。2018年8月27日に茨城県でレンコン田の防鳥ネットにコウノトリが絡まり、保護されたものの、死亡するニュースがありました。防鳥ネットによる野鳥への被害は毎年発生し、多くの野鳥が命を落としています。

 

防鳥ネットとは?

防鳥ネットとは文字通り、鳥を防ぐためのネットです。都市部などでは、ゴミ捨て場などにカラスやハト除けに設置しています。農作地でも、農作物を守るために設置されています。

防鳥ネットを設置することで農作物への被害対策

農業を営む人たちが育てた作物は、野鳥にとって貴重な食糧になります。畑や田んぼをそのままの状態だと、好きなように作物を食べられてしまいます。実際、野鳥による農作物の被害は大きく、農家にとっても悩みの種です。

野鳥による農作物の被害は大きい

そうした野鳥による作物への被害を防ぐために、防鳥ネットを農地に設置します。防鳥ネットを張ることで、畑や田んぼに鳥が入ってこれないようにして、作物を食べれないようにしています。

 

 

茨城県でコウノトリが被害に

2018年8月27日に茨城県小美玉市のレンコン田で、食害対策用の防鳥ネットに、国の天然記念物であるコウノトリが絡まっていたところを保護されましたというニュースがありました。

残念ながらコウノトリは鳥獣センターで保護後、8月30日に亡くなってしまいました。このコウノトリは、千葉県の野田市から2018年6月に放たれた「だいち」と呼ばれたコウノトリでした。

茨城県のレンコン田の防鳥ネットに絡まったところを保護されたコウノトリ

 

日本野鳥の会茨城県が防鳥ネットによる野鳥への被害を紹介

日本野鳥の会茨城県では、レンコン田(ハス田)に設置された防鳥ネットによる野鳥の羅網被害を紹介しています。

防鳥ネットに羅網した野鳥達(日本野鳥の会茨城県 WBSJ Ibaraki)

※衝撃を受ける写真がリンク先に掲載されているので、ご注意下さい。

茨城県では、レンコンの生産量が全国1位で、レンコン田は多数あります。

レンコン田(ハス田)の様子・雰囲気

野鳥の会茨城県の調査の結果、レンコン田に設置された防鳥ネットによって、毎年1000羽以上の野鳥が命を落としているとの実態が論文でも発表されています。

 

設置の防鳥ネットは狩猟用網に似た構造

茨城県のレンコン田で設置されている防鳥ネットの問題点について、何人かのバードウォッチャーが指摘しています。

レンコン田に設置されている防鳥ネットは、狩猟用であるかすみ網と呼ばれるものと類似機能を持っているそうです。都市部で見られる網の目が細かい防鳥ネットに比べ、網の目が大きく、絡まりやすい特徴があります。

そのため、様々な野鳥がネットに絡まって、落鳥する事故が起きています。ちなみに、狩猟用のかすみ網は、鳥獣保護法で使用が禁じられています。

 

野鳥と人間が共生できる社会を

現状、茨城県のレンコン田で設置されている防鳥ネットは、野鳥への被害を与えるものとなっています。そうした野鳥への被害を防ぐためには、目が細かく絡まりにくいようなネットや、金属製の防鳥ネットの設置などが有効との声があります。

ただ、目が細かいと風の影響を受けやすくなり、台風などで防鳥ネットが飛ぶ可能性が高まります。金属製のネットは費用や設置にかかるコストも大きいです。

しかし、毎年1000羽以上の野鳥が命を落としているという事実から、目を背けてはいけません。中には国の天然記念物に指定されている鳥類も含まれています。しっかり、野鳥と人間が共生できる社会にできるよう、取り組むことが求められます。

飛翔する野鳥コウノトリ

 

まとめ・終わりに

今回、2018年8月27日に、茨城県のレンコン田でコウノトリが防鳥ネットの被害に遭ったニュースから、防鳥ネットの危険性を紹介しました。残念ながら、保護された後コウノトリは亡くなってしまいましたが、毎年茨城県では1000羽以上の野鳥が防鳥ネットによって命を落としています。

もちろん、農家にとって野鳥から農作物を守ることは大切です。しかし、これだけの野鳥が防鳥ネットによって被害を受けていることを見過ごしてはならないです。人間と、野生動物が共生できるよう、防鳥ネットの改良や新たな農作物の食害対策が求められます。