インコ・オウムが発症するPDD(腺胃拡張症)とは?原因と症状、治療方法を解説

インコお世話,鳥の病気

PDDはヨウムやルリコンゴウインコの発症率・感染率が高い

インコやオウムが発症する病気の1つにPDD(腺胃拡張症)という病気があります。はっきりとした原因がまだ特定しておらず、発症すると根本的な治療方法が今のところ存在しない恐ろしい病気です。ぜひ愛鳥家の方に知っておいて欲しい病気なので、発症原因や症状についてまとめてみました。

 

PDD(腺胃拡張症)の概要

PDDの正式名称は英語で、Proventricular Dilatation Diseaseと言います。各単語の頭文字を取ってPDDと呼ばれています。PDDは日本語では「腺胃拡張症」と訳されています。インコなどの鳥類の2つある胃の1つ目の腺胃などの消化器官が拡張する症状が発生します。

インコの消化器の仕組み

出典:コンパニオンバードの病気百科

発症までの潜伏期間は数週間から数年と非常にバラツキがあります。「コンパニオンバードの病気百科」によると、感染鳥から少なくとも2年以上隔離した鳥でも発症した症例がるそうです。

 

発症原因はボルナウィルス感染が有力視

実は、PDDの発症原因についてはまだよく分かっていないところが多い病気です。PDDを発症したインコは、様々なウィルスに感染していたため、ウィルス感染によるものだと考えられています。その中でも鳥ボルナウィルスが発症の原因である可能性が高いと有力視されています。

PDDの原因と疑われているボルナウィルスのイメージ図

鳥ボルナウィルスを接種した個体がPDDを惹起した事例があります。しかし、すべてのPDDを発症した鳥から鳥ボルナウィルスが検出されたわけでないため、まだPDDの発症原因は特定には至っておらず、謎が多い病気です。

 

PDDを発症しやすいインコ・オウムの種類

PDDはオウム目に属するすべてのインコやオウムで発症します。その中でも、PDDを発症しやすい種類としては、ヨウムやルリコンゴウインコの発症率が高いそうです。オウム目以外の鳥でもフィンチやフラミンゴなどPDDの感染が報告されています。

PDDはヨウムやルリコンゴウインコの発症率・感染率が高い

また、PDDの発症に性別は関係ありません。オスとメスどちらでも同じように発症することがあります。

 

PDDを発症したインコの症状

PDDを発症すると神経障害が発生し、腺胃を中心に消化器官で拡張が起こり、消化器官の運動機能が低下します。それによって、食欲不振や吐出、粒便などの症状が起こります。これらの症状が急に起こり始めて、飼い主は異常に気づきます。

消化器官で起きる症状以外に、中枢神経にも症状が広がっていきます。その結果、止まり木に止まれなくなったり、歩行異常などの運動機能の低下が発生します。

 

PDDの治療方法

残念ながら、PDDを完治させる根本的な治療方法は存在していません。そのため対症療法的な延命治療が行われます。非ステロイド系抗炎症薬や、COX-2選択阻害薬などで炎症を抑えることで、延命を図る治療が行われます。

インコの体調がおかしく病気が疑われる場合は、獣医を受診し、治療を受けましょう

 

PDDを予防する方法

PDDは治療方法が存在しない病気のため、発症しないよう予防することが大切です。そのため、PDDの発症原因とされるボルナウィルスに感染した鳥に接触させないことが重要です。また、感染経路も飛沫感染なのか、空気感染なのかも分かっていません。他の鳥に触れた後、愛鳥に触れる場合は、きちんど消毒を行い、衣類なども着替えることがオススメです。

 

まとめ・終わりに

今回、インコやオウムなどのオウム目の鳥で発症するPDD(Proventricular Dilatation Disease)、腺胃拡張症について紹介しました。PDDは、まだまだ分かっていないことが多い病気で、ボルナウィルスに感染することで発症すると考えられています。また、完治する治療法はまだ確立されておらず、対症療法しか存在しないのが現状です。

万が一発症したインコがいれば、他の鳥に感染しないよう対策も必要です。ぜひ、愛鳥家の方はこうしたインコの病気について知っておくことをオススメします。

※参考文献:コンパニオンバードの病気百科