【追記】2019参院選の各政党の動物愛護に関する公約(マニュフェスト)比較まとめ

2019年7月8日鳥コラム,鳥ニュース

2019年の参議院選挙の各政党の動物愛護に関する公約・マニュフェスト比較まとめ

2019年7月日に参議院選挙の公示が行われました。参院選に出馬する各政党はWebサイトにて公約(マニュフェスト)を公開しています。7月21日の投票日に向けて、各政党の動物愛護に関する公約がどのようなものか、まとめてみました。

※2019年7月15日 山本太郎氏が結成した「れいわ新選組」の公約について追記しました。

 

選挙の論点の1つに動物愛護

2019年の参院選の論点としては、ニュースなどでは経済や外交などが多く比較されています。

しかし、2019年6月には動物愛護管理法の改正が成立し、3年以内に改正された法案が施行される予定です。

そうした点において、参院選の論点の1つとして動物愛護に関して各政党がどのようなスタンスか、マニュフェストから知ることは非常に重要です。

 

調査対象の政党は8党

今回、マニュフェストの動物愛護の内容について調査したのは、以下の8つの政党です。

  1. 自由民主党(自民党)
  2. 公明党
  3. 立憲民主党
  4. 国民民主党
  5. 日本維新の会
  6. 日本共産党
  7. 社会民主党(社民党)
  8. れいわ新選組

※当初は公示日時点で政党要件を満たしている7つ政党のみを調査対象としていましたが、山本太郎氏のれいわ新選組を追加しました。

 

各党の公約を比較

各党の公約に掲載されている動物愛護の項目について、それぞれが謳っている内容を比較できるよう、簡単にまとめてみました。

2019参院選の各政党の動物愛護に関する公約(マニュフェスト)の概要を比較(れいわ新選組を追加版)

 

自由民主党(自民党)

  • マニュフェスト概要に記載があるか:なし
  • マニュフェスト詳細に記載があるか:あり

愛護動物の虐待をなくし、不適切な動物取扱業者への対応を強化します。

政策BANK|「日本の明日を切り開く」(自民党)

 

公明党

  • マニュフェスト概要に記載があるか:なし
  • マニュフェスト詳細に記載があるか:あり

動物愛護の推進、「愛玩動物看護師」制度の円滑な実施

●改正動物愛護法の施行に向け、動物の健康と安全の視点に立って順守基準を具体化し、動物取扱業の適正化を図るとともに、必要な規制強化について検討を行います。また、動物虐待の厳罰化を受け、警察や地方自治体が連携して動物虐待を防止する取り組みを強化します。

また、犬猫等の殺処分ゼロに向け、福祉部局と連携した多頭飼育崩壊への対応や地域猫活動への支援等、地方自治体の体制強化を図ります。マイクロチップの装着義務化に当たっては、販売等される動物のトレーサビリティ(履歴管理)が確保される仕組みを構築します。さらに、災害時におけるペットの同行避難などのペット対策を進めます。

●犬猫等、愛玩動物に関する獣医療の普及と向上、愛玩動物の適正な飼育に寄与するため、公的資格化された「愛玩動物看護師」制度の円滑な実施と、愛玩動物看護師のさらなる活躍の促進に向けた取り組みを進めます。

公明党政策集Manifesto2019

 

立憲民主党

  • マニュフェスト概要に記載があるか:あり
  • マニュフェスト詳細に記載があるか:なし

動物福祉に関する法整備を行い、犬猫殺処分ゼロを目指します。

立憲ビジョン2019 参院選公約(エネルギー・環境ビジョン)

 

国民民主党

  • マニュフェスト概要に記載があるか:なし
  • マニュフェスト詳細に記載があるか:あり

人と動物が幸せに暮らす社会を実現するため、犬猫の殺処分ゼロを目指します。動物を飼養・管理する者の責務の強化、動物取扱業者の責任の強化などに取り組みます。

https://www.dpfp.or.jp/election2019/policies/201709#h3_3

 

日本維新の会

  • マニュフェスト概要に記載があるか:なし
  • マニュフェスト詳細に記載があるか:あり

イヌ、ネコの殺処分ゼロ

日本維新の会のマニフェスト(詳細版)

 

日本共産党

  • マニュフェスト概要に記載があるか:なし
  • マニュフェスト詳細に記載があるか:あり

ペットの殺処分を減らし、人と動物が共生する社会を目指す

子犬は引き取り手が見つかりやすいのに比べ、成犬はみつけにくく処分されることが多いといわれています。譲渡の可能性を広げるためには、性格を知り、必要な矯正をし、一定期間の健康管理をするなど手間と時間が必要です。行政だけでこうした措置をカバーすることは困難ですが、愛護団体やNPO、地域の住民の協力なども得られる仕組みをつくります。政府は、市町村による動物との共生の地域ビジョンの作成を支援し、不妊手術への助成制度の創設や、譲渡促進のとりくみへの支援などに乗り出すべきです。

今回の法改正で、動物実験に関して、附則に、「国は、動物が科学上の利用に供される場合における動物を供する方法に代わり得るものを利用すること、その利用に供される動物の数を少なくすること等による動物の適切な利用の在り方について検討を加え、必要があると認めるときには、その結果に基づいて所要の措置を講ずるものとする。」としました。現在、環境省がつくった「基準」や学術会議が策定した「ガイドライン」、文部科学省・厚生労働省・農林水産省の「基本方針」をもとに、研究機関が管理する仕組みになっています。公的な研究機関・大学では、動物実験に関する委員会を組織して、研究者に必要な教育を行い、研究計画書の審査し、その実験方法の評価を行っています。民間の事業者でも、アメリカ研究協議会が作成した詳細な動物実験に関するガイドラインをもとに、国際実験動物ケア評価認証協会(AAALAC International)から、このガイドラインに適合しているという認証を受けているところもあります。現状を理解するために、透明性の向上も大事です。

動物の安楽死の問題では、国際的なルールをよく検討し、苦痛をできるだけ与えない方式を目指します。

2020年の東京オリンピック・パラリンピック大会の飲食サービスの調達基準にアニマルウェルフェア(動物福祉)が入っています。またEUに牛肉などを輸出する場合には、アニマルウェルフェアを踏まえた飼養管理・輸送・屠畜がなされたかが問われるなど、アニマルウェルフェアへの関心が高まってきました。アニマルウェルフェアは、動物の本来の自然なふるまいを尊重し、生活環境からのストレスを減らし、空腹・不快・苦痛・恐怖を与えないように動物の生活の質の改善を図ることです。そのために能力・エサ・空間における集約化を緩和することになります。日本でも、ブロイラーや採卵鶏の飼育のように大規模な工場的な生産が行われているものや、肉牛・乳牛飼育、養豚のように小規模生産が多数存在する分野もあり、状況をよく踏まえて、基準や支援策を定める必要があります。

動物に関する考え方は、愛玩動物、畜産などの産業動物、実験動物、動物園などの展示動物、盲導犬・救助犬などの支援用動物、野生動物など、それぞれの分野で、異なります。人と動物が共生できる社会を目指していくには、各分野の状況を情報提供し、認識の共有を図る必要があります。

動物愛護(2019参院選・各分野の政策)(日本共産党)

 

社会民主党(社民党)

  • マニュフェスト概要に記載があるか:なし
  • マニュフェスト詳細に記載があるか:あり

犬猫の殺処分ゼロを目指し、国の支援を強化します。生後56日以下の子犬や子猫の販売を禁じる「8週齢規制」を定めた「改正動物愛護管理法」を着実に実施するとともに、より実効性のある取り組みを進めます。

2019年 参議院選挙 選挙公約(社会民主党)

 

(追記)れいわ新選組

  • マニュフェスト概要に記載があるか:なし
  • マニュフェスト詳細に記載があるか:あり

ペットショップでの生体販売禁止。 ブリーダーからの直接譲渡や、保護犬猫の譲渡を促進。 動物実験の削減を強化、義務化。 畜産動物のアニマルウェルフェアを世界レベルに。

依然として動物虐待や劣悪飼育といった問題が後を絶たない現状を改善するため、最低限の飼育環境・設備の基準を定め、立入を義務化。実験動物使用数の削減を義務と強化。畜産業においても動物福祉が守られるよう国際的な基準を踏まえた飼育や処分方法に関する基準を定める。犬猫殺処分ゼロに向け自治体による引き取り・収容・殺処分を改善します。

政策|れいわ新選組

 

各政党とも犬・猫に関する内容が大半

各政党の動物愛護に関するマニュフェストの詳細内容を確認したところ、犬猫殺処分ゼロへの言及が多くみられました。日本のペットの割合の関係上、仕方がありませんが、犬と猫に関する内容が中心でした。

マニュフェストの分量を比較したところ、日本共産党が最も多かったです。ただし、選挙公約と政策に書かれた部分の多くはすでに成立した改正についてが中心で、具体的には、成犬の譲渡推進の取り組み支援、動物実験の透明性の向上、各分野の状況の情報提供と認識の共有が謳われています。

インコの虐待など、動物虐待の問題は、自民党と公明党が「虐待」の文言を公約に掲載しています。

特に公明党は「動物虐待の厳罰化を受け、警察や地方自治体が連携して動物虐待を防止する取り組みを強化します」と、公約にしっかりと虐待対策が言及されています。

(追記)れいわ新選組では、マニュフェストで「ペットショップでの生体販売禁止」という具体的な政策を掲げました。ブリーダーからの直接譲渡や、保護猫・保護犬からの譲渡の促進を謳っています。

 

まとめ・終わりに

今回、2019年7月21日投票日の参議院選挙において、各政党のマニュフェストでの動物愛護のスタンスを調査しました。

動物愛護についても公約を比較してみても、基本的には動物愛護を推進しながらも、各政党によってそのスタンスは異なります。

ぜひ、参院選の投票をどうするか、こうした動物愛護の観点も併せ、判断いただければと思います。