【鳥コラム】「飛行中の鳥が衝突しない理由」:解説②論文著者の経歴
前回、「飛行中の鳥が衝突しない理由」の研究結果を発表した、『Strategies for Pre-Emptive Mid-Air Collision Avoidance in Budgerigars』の要旨部分の日本語訳と解説を行いました。(前回の記事はこちら)
さらに論文を読み進める前に、今回は、論文を書いた著者(オーサー)について調べてみました。
■研究論文の著者
『セキセイインコにおける予防的な空中衝突回避ための戦略』の論文には3人の著者がいます。論文ページを見てみると論文タイトルの下に3人の名前が記載されています。
Ingo Schiffner, Tristan Perez, Mandyam V. Srinivasan
前から順に、第1オーサー、第2オーサー、第3オーサーと呼びます。このオーサーの人数は論文によって違い、第1オーサーのみの論文もあれば、第6,7オーサーくらいまで記載されることもあります。研究に携わった人がオーサーとして記載されます。
■論文を書いたのはどの著者?
論文を執筆するのは、基本的に第1オーサーです。そのため、今回の論文では、「Ingo Schiffner」さんが執筆者になります。他の方も研究には携わっていますが、研究成果の割合で言うと、「Ingo Schiffner」さんが一番大きいです。
日本の研究機関である大学では、研究をした人が第1オーサーで、同じ研究室の教員が第2,第3オーサーになることが多いです。
■著者の経歴
①「Ingo Schiffner」
クイーンズランド大学のポストドクターPD,クイーンズランド脳研究所
研究分野:エコロジー、生物統計学、神経科学
②「Tristan Perez」
クイーンズランド工科大学の教授,Science and Engineering
博士号:制御工学
研究分野:ロボティクス教授理工学部、電気工学、コンピュータサイエンス、ロボティクス・自律システム
③「Mandyam V. Srinivasan」
クイーンズランド大学の教授,クイーンズランド脳研究所
博士号:工学と応用科学
研究分野:ビジョン、ナビゲーション、シンプルな神経系を有する動物における「認知」、およびロボット工学への応用
3人の経歴を見ていると、鳥の学者・研究者ではなく、工学系の研究者のようでした。鳥について研究は鳥の生態を研究するというよりも、鳥の行動を研究し、制御やプログラムなどの応用するといった研究アプローチです。さらに、過去の発表論文を参照したところ、鳥に関する研究を積極的に進めているのはやはり、「Ingo Schiffner」さんでした。
日本で今回の研究発表で取り上げられ方を見ると、第3オーサーのマンディアム・スリニヴァサンさんのみがフォーカスされていますが、実質的な研究の主導は、第1オーサーの「Ingo Schiffner」でした。ただ、スリニヴァサンさんはクイーンズランド大学脳研究所の教授で、飛行に関する様々な研究を進めているため、研究グループの代表として、スリニヴァサンさんが紹介されたと推測します。
研究を調べる際は、その人の背景、バックボーンなども調べると、色々知ることができて面白いです。また、次回は、論文の読み進めに戻りたいと思います。
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