【鳥コラム】「飛行中の鳥が衝突しない理由」:論文の日本語訳と解説①要旨

鳥コラム

セキセイインコの衝突しない理由の研究発表

前回、飛行中の鳥が向かい側から別の鳥が飛んできても衝突しない理由についての研究結果が発表されたことを紹介しました。

記事はこちら→『【鳥ビア】飛行中の鳥が衝突しない理由~科学者が論文を発表 』

論文はWebで公開されていて、だれでも入手して読むことができます(論文はこちら)。

興味深い研究結果ですが、残念ながら論文を発表したのは、日本の研究機関ではなく、オーストラリアの研究機関でした。そのため、論文は英語で書かれており、どうしてもそのままでは読む気になる人は少ないと思います。今回の論文発表は、日本語のニュースサイトでも取り上げられていますが、論文の一部を要約した日本語訳を紹介しているので、論文の中身をしっかりと理解することは難しいです。

そこで、今回、この論文、『Strategies for Pre-Emptive Mid-Air Collision Avoidance in Budgerigars』の日本語訳(和訳)と解説に挑戦してみました。うれしいことに今回の論文は、「クリエイティブコモンズ」のため、コピーや翻訳もOKです。この素晴らしい鳥の研究成果を日本の多くの人に知ってもらうために、日本語で紹介したいと思います。

※日本語訳は、「インコ生活」管理人の英語力に基づいたものです。理解が足りていない部分もあるかと思いますが、ご容赦いただけますと幸いです。

論文は、文章量がかなりのボリュームなので、少しずつ進めていきます。第1回としては、要旨、アブストラクト部分について解説したいと思います。

 

原文

『Strategies for Pre-Emptive Mid-Air Collision Avoidance in Budgerigars』

Abstract
We have investigated how birds avoid mid-air collisions during head-on encounters. Trajectories of birds flying towards each other in a tunnel were recorded using high speed video cameras. Analysis and modelling of the data suggest two simple strategies for collision avoidance: (a) each bird veers to its right and (b) each bird changes its altitude relative to the other bird according to a preset preference. Both strategies suggest simple rules by which collisions can be avoided in head-on encounters by two agents, be they animals or machines. The findings are potentially applicable to the design of guidance algorithms for automated collision avoidance on aircraft.

日本語訳

『セキセイインコにおける予防的な空中衝突回避ための戦略』

要旨
我々は、どのように鳥が対向側から時に空中衝突を回避するか調査した。
トンネルの中をお互いの方向に鳥が飛行する軌道をハイスピードビデオカメラを使って記録した。
データの分析とモデリングの結果は、衝突を回避するための2つのシンプルな戦略を示唆している。

①お互いの鳥は右によける
②お互いの鳥は、元来持つ高度の好みによって高度を変える

両方の戦略は動物や機械などの場合でも正面衝突を回避できるシンプルなルールを示している。。
今回の発見は、航空機における自動的な衝突回避を手引きするアルゴリズムの設計へ応用できる可能性を秘めている。

 

論文は、要旨に論文の結論が記載されています。要旨を解説すると、研究チームが実験を行った結果、鳥が2つの戦略を持って衝突するのを回避していることを発見しています。

では、いったいどのような実験で、どれぐらいの実験回数を行って、戦略を発見したのでしょうか。次回以降、さらに論文を読み進めていき、鳥の衝突を回避できる能力について理解を深めたいと思います。

 

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