【鳥ニュース】メキシコでボウシインコ属の新種インコを発見!?珍しい野生下での新種発見
メキシコのユカタン半島で新種のインコが発見されたかもしれないというニュースが、ナショナルジオグラフィックに掲載されました。
近年の新種発見は、同じ種類(亜種)と思われていた種が実は、新種だったというケースが大半です。そんな中、今回の新種インコは、野生からの発見という非常に珍しい事例です。
■新種インコ「ブルー・ウイングド・アマゾン」の概要
今回、新種のインコはメキシコのユカタン半島で発見されました。発見したのは、メキシコ・ヌエボレオン州立大学のミゲル・ゴメス・ガルサ氏です。ガルサ氏は、メキシコの公的機関が没収した野生動物をお世話する獣医師です。
オウム目インコ科ボウシインコ属に所属する新種は、発見者の名前から学名は「Amazona gomezgarzai」と命名されました。英語の名前は「ブルー・ウイングド・アマゾン」です。新種発見の論文は、学術誌「PeerJ」に掲載されました。
PHOTOGRAPH BY TONY SILVA (CC BY), CREATIVE COMMONS
■発見の経緯
今回の新種インコ「ブルー・ウイングド・アマゾン」は、発見された経緯が珍しいケースです。最近の新種発見パターンは、亜種とされたものがDNA分析の結果、新種に格上げされるものが殆どでした。
しかし、今回は、発見者のミゲル・ゴメス・ガルザ氏がユカタン半島の森を調査しているときに、野生下の個体が発見されました。珍しい鳴き声で、さらに既知のインコと異なる行動・特徴を有していたため、捕獲した個体をDNA鑑定した結果、研究チームは新種と判定しました。
■新種インコの特徴
「ブルー・ウイングド・アマゾン(学名Amazona gomezgarzai)」は、大きさはハトくらいのサイズとのことです。翼を広げると目立つ鮮やかな青い風切羽と、燃えるように赤い額が特徴です。猛禽類のタカのような鋭い音を繰り返す鳴き声は大きく、非常に行動は活動的で、活発な性質を有します。DNA分析の結果から、新種のインコが進化したのは、約12万年前ということでした。進化の理由は、気候変動によるものだと研究チームは推測しています。
PHOTOGRAPH BY TONY SILVA (CC BY), CREATIVE COMMONS
■他のインコとの比較
同じ地域に生息するキバナボウシインコ(Amazona xantholora)という同じボウシインコ属のインコは、新種のインコと比較すると、鳴き声も小さく、行動も落ち着いているようです。
その他、額に赤い羽が生えるボウシインコに、アカボウシインコやメキシコアカボウシインコがいますが、どちらも今回の新種とは、外見的に違いが見受けられます。
ブラジルに生息するアカボウシインコには、黄色の羽が目の周りや、翼に生えています。
メキシコアカボウシインコは、後頭部に青灰色の羽があります。
写真を見た感じでは、今回の発見された「ブルー・ウイングド・アマゾン」は、外見は発見されている既知の種と違いがありそうです。
■新種ではないという意見も
しかし、新種と発表された一方で、新種認定に慎重な意見もあります。ナショナルジオグラフィックの記事では二人の研究者が、新種の可能性は認めつつも、さらなる遺伝子分析などの調査が必要とコメントしています。このあたりは、より詳細な調査結果を待ちたいところです。
■すでに個体数が100羽程度と推定
新種発見に喜ぶ一方で、悲しい面もあります。それは、今回発見された新種インコは、すでに100羽程度しか生息していないと研究チームは推測しています。100羽という数字は、もはや絶滅危惧種といえる個体数です。今回の発表を受け、その希少性から密猟を受ける可能性も否定できません。そのため、早急な保護が求められています。
PHOTOGRAPH BY TONY SILVA (CC BY), CREATIVE COMMONS
■まとめ・終わりに
今回、ナショナルジオグラフィックに、新種のインコ「ブルー・ウイングド・アマゾン」が、メキシコのユカタン半島で発見されたというニュースが掲載されました。野生種からの新種発見という大変珍しいパターンですが、まだまだ新種と断定するまでには時間がかかりそうです。
ただ、すでに生息数が極めて少ない100羽程度と推定されており、絶滅を逃れるためには、一刻も早い保護が必要です。多様な生物が人類との共存して、地球で暮らしていける世界を望みます。
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