鳥カフェがヨウムのお迎え費用を募集したクラウドファンディングに愛鳥家が疑問の声!
北海道にあるフクロウなどの猛禽類中心の鳥カフェが、クラウドファンディングでヨウムのお迎え費用を募った件が、TwitterなどのSNS上で話題になっています。鳥カフェがクラウドファンディングを実施することはありましたが、生体購入費用で募集するというのは初ケースだと思われます。今回の経緯について紹介したいと思います。
※2018年12月1日追記 取り上げたクラウドファンディングですが、目標金額が達成せず、不成立で終了となりました。
北海道の鳥カフェ「福ろうカフェ」がクラウドファンディング
事の発端は、北海道の札幌市内にある鳥カフェ「福ろうカフェ」が2018年10月5日に開始したクラウドファンディングです。
フクロウ中心の鳥カフェに新たな種類の鳥として、ヨウムをお迎えするための生体購入費用を集めるため、75万円を目標金額に設定しています。
クラウドファンディングとしては、以下の目的を掲げられています。
私は触ることだけが触れ合いではなく、観ることも触れ合いだと考えており、開業後は、「触る=動物カフェ」という考え方を少しでも変えてもらえるように努力をしています。人が大好きで遊んでほしいという動物もいますが、中にはそうではない動物もいるので、動物のボディランゲージを観察して、動物との関わり方を考るきっかけになるお店になれたらと思っています。
そんなお店で今回、新しいスタッフとしてインコのヨウムをお迎えして、おしゃべり、モノマネ、意味を理解した上での会話などヨウムならではの触れ合いをお客様に楽しんでいただければと思っています。
目的がヨウムのお迎え費用なのが問題視
今回のクラウドファンディングで問題視されているのが、クラウドファンディングで集めた資金の用途が、ヨウムの生体購入費用であることです。
これまでも鳥カフェや飼い鳥を扱う団体がクラウドファンディングを実施したことはありました。しかし、いずれも移転にかかる費用や、設備費用などでした。それに対し、お店で展示する鳥を購入するためにクラウドファンディングを実施するのは初めてのケースです。生体購入費用の寄付を募ることに対し、「ヨウムの購入費用さえ用意できないのに、食費や医療費など継続してお世話ができるか?」といった批判の声が挙がっています。
また、購入費用として目標金額が75万円に設定されていますが、現在のヨウム購入金額の相場としては、75万円以下で入手もできるとの意見もあり、価格設定にも疑問の声が投げかけられています。
費用について事務局発表(2018年10月19日)
多くの人から疑問の声が挙がった、お迎え費用についてReadyForの事務局から発表がありました。お迎えかかる費用について公開されましたが、当初発表された使用用途だと目標金額と計算が合わない誤ったもののため、訂正版も発表されています。
ヨウムはワシントン条約サイテスⅠ類の絶滅危惧種
今回購入しようとしているヨウムは、インコの中でもトップクラスの知能の高さがある鳥です。5歳児に匹敵する知能を持つとの研究結果も報告されています。しかし、それがゆえに非常に人気が高い種類のため、野生のヨウムはペット目的のために捕獲された結果、激減して絶滅危惧種になっています。
2016年に開催されたワシントン条約の会議で、ヨウムを国際取引を禁止する案が可決され、日本でもヨウムの取引が規制されています。譲渡や購入するには、ブリード個体であることの証明と認可が必要です。
Twitter上での愛鳥家の意見を紹介
Twitter上で愛鳥家の方の意見を一通り調査したので、ご紹介します。
ふくろうカフェにヨウムが欲しいからクラウドファンディングって筋が違いませんか?
今後その子でお金を稼ぐんですよね?たった75万の購入費が用意できなくて、今後そのヨウムやフクロウ達の面倒みられるんですか?
病気する子が相次いだらどうするの?
北海道の猛禽クラスタ
この店の情報ありますか? https://t.co/Ap40XoD37R— みさowl (@misa_owl) October 17, 2018
ヨウムが欲しいから寄付してほしいなんてものが成立してしまうのでしょうか。
ヨウムはモノマネをするインコなんて決めつけていますが喋らない子もいますけど?
過度な期待はヨウムも可哀想です。
そして動物を飼うのは医療費や餌などお金かかるんですよ?
欲しいからお金ちょうだいって…
子供ですか https://t.co/NjFkYhffFp— とりすき (@ztgl8xT3sjSpXk5) 2018年10月17日
ヨウムはとてもデリケートな鳥で、個体数も今とても少なく、サイテスⅠ類に登録されており申請が必要です。
生活スタイルも猛禽や文鳥とは全く違います。方々から言われてるかもしれませんが、
鳥が好きなら
今一度
考え直してください。
鳥が好きな私たちからのお願いです。
— レオ上等兵@リンの愛(ガブガブ)が痛いw (@time4411) 2018年10月17日
うーん……莫大な治療費の援助とかなら、まだ理解もできるけれど。そもそも生体の費用を自分で用意できないというのは、その後の資金力にも不安があるわな。
あと、捕食者であるフクロウと、体は多少大きくても獲物の側にいるヨウムを一緒に……というのも好ましいとは思えないです。 https://t.co/wzwxYbplju— HIRO@鳥世話日記 (@torinosewa) 2018年10月17日
ヨウム飼うためにクラウドファンディング⁉️
全っ然意味がわからない。
正直このお店にヨウムお迎えして欲しくないです。生体代を払えない人間は飼うべきじゃない。
基本中の基本の話なのでは?
これからヨウムのお世話していくためのお金も足りなくなったら、またクラウドファンディングするつもり? https://t.co/XTLAFXRp7s— こづき (@kozukiqtaro) 2018年10月17日
んん?猛禽類の捕食シーンなどリアルを伝えたくて開店したというのに、なぜここでヨウム。。?そもそもフクロウカフェにヨウムという理由もよく分からない。。
クラウドファンディングでお店そのものの開店費用とかを集めるならまだしも、客寄せの生体購入費というのはおかしな話でしょう(ー ー;)
— インコ丸 (@inkomaru001) 2018年10月17日
福ろうカフェさん、わたし行ったことあって
店主さんがしっかり鳥さんのこと考えていて、もみくちゃに触られるような鳥カフェとは全然違ってすごく良いお店なんです。
でも、今回のクラウドファンディングの件はわたしもちょっと疑問に思ってます…なぜなんでしょうか…😔— ちくわとさきこ (@chikuwakun1005) 2018年10月17日
多くの投稿・ツイートが、今回のクラウドファンディングを批難・反対する内容でした。福ろうカフェを訪ねたことがある愛鳥家の方も生体購入費用をクラウドファンディングで集めることに疑問を呈していました。
(2018年12月1日追記)目標金額未達成で不成立が決定
寄付を募集していた、福ろうカフェのクラウドファンディングですが、締め切りの2018年11月30日に目標金額の75万円が集まりませんでした。今回のクラウドファンディングは、目標金額に達成しなければ、不成立となるタイプだったため、成立しませんでした。
クラウドファンディングの問題点が指摘された後、10月18日時点で36%でした。その後、少しずつ支援額が増えていき、最終的には59%、約44万円もの支援金が集まった模様です。
アフリカ日本協議会によるヨウム保護のクラウドファンディングも
クラウドファンディングには、鳥カフェの購入対象となっているヨウムの絶滅を防ぐための活動支援もあります。
こちらは、ヨウムの原産国の1つであるコンゴ共和国で、アフリカ日本協議会の西原智昭氏を中心に、密猟者に捕らえられたヨウムの野生復帰に取り組んでいます。
このクラウドファンディングを応援することで、寄付金は、密猟者に捕らえられたヨウムの野生復帰のために利用されます。インコ生活も、アフリカ日本協議会の西原氏らのヨウム保護活動を応援するため、クラウドファンディングを活用しています。
ぜひ、ヨウムが絶滅危惧種で、絶滅の危機に瀕していることに加え、こうしたヨウムの保護や絶滅を防ぐための活動が行われていることを知ってもらいたいと考えています。
まとめ・終わりに
今回、愛鳥家の間で話題となっている、北海道の鳥カフェが実施しているヨウムの生体購入費用のためのクラウドファンディングを取り上げました。多くの愛鳥家が疑問に思っている通り、鳥たちのための設備ならまだしも、鳥の購入費用をクラウドファンディングで募るのは強い違和感を感じます。
また、ヨウムはワシントン条約(サイテス)で国際取引が規制される絶滅危惧種です。そのようなインコを賢く、お喋り・モノマネが得意だからという理由で鳥カフェがお迎えすることは良いのかと感じます。また、お喋りやモノマネは個体差があり、まったくしない個体もいます。そうした点に過度な期待を抱いて、ヨウムを購入することは危険です。そうしたクラウドファンディングを応援するよりも、ヨウムを絶滅から救おうとしているアフリカ日本協議会の活動を知ってもらいたいです。
鳥カフェのヨウム購入費用を集めるクラウドファンディングは、2018年10月18日時点で目標金額の36%ほど集まっています。今後、目標額の75万円に達するのか、その推移に注目されます。
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