コンパニオンバード31号の書評・レビュー!健康診断や腫瘍について学べるオススメ雑誌

インコ書籍

誠文堂新光社のコンパニオンバードNo31号の表紙(2019年6月13日発売)

2019年6月13日に誠文堂新光社より愛鳥家向け雑誌「コンパニオンバードNo31」が発売されました。巻頭特集では関心が深い愛鳥の健康診断の解説記事でした。文鳥などフィンチの色変わり理論やハネナガインコの記事など面白かったです。コンパニオンバードを読了したのでレビュー記事を掲載したいと思います。

 

コンパニオンバードNo.31の概要

  • 書籍名:コンパニオンバード No.31
  • 発売日:2019年6月13日
  • 出版社:誠文堂新光社
  • 価格:1728円

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巻頭特集はインコなど飼い鳥の健康診断

巻頭特集は「健康診断に行こう!」です。小鳥のセンター病院・院長の池谷真樹先生が監修された特集記事です。

まず、最初に愛鳥の健康診断の意義と重要性について愛鳥と飼い主、獣医師の3者のメリットが紹介されていました。

  • 飼い鳥のメリット:健康診断で普段からキャリーで動物病院に通うことが習慣化できれば、万が一の病気の際にスムーズに病院に連れて行くことができる
  • 飼い主のメリット:健康診断によって愛鳥の現在の状況を知ることができる。日頃から動物病院に通うことで万が一の病気の時に緊張せず症状を伝えることができる
  • 獣医師のメリット:飼い主に対し、正しい飼育情報を伝えることで病気を未然に防ぐ。何度も通うことで愛鳥の特性を知り、具体的なアドバイスができる

続いて鳥の健康を考えるうえでポイントとなる種類や性別、年齢、性格、季節について紹介されました。

さらに、健康診断で行う検査項目と本当に必要な項目は何か?という点について解説がありました。こちらは愛鳥祭のセミナーが参考になります。

愛鳥祭2019セミナー「健康診断へ行こう!検査は何をやるの?」講演メモ(バーズ動物病院・西谷英氏)

自宅でもできる愛鳥の健康チェックでは、9つのポイントが紹介され、どういった点を確認すればよいか解説がありました。

 

文鳥・錦華鳥などフィンチ系の色変わりの仕組みを解説

前号のコンパニオンバードNo30でインコの色変わりの仕組み・メカニズムについて解説がありました。それが好評だったことを受け、文鳥や錦華鳥、カナリアやコキンチョウの色変わりについて特集されました。

フィンチの色を決める要素としては、以下の3つが挙げられます。

  1. メラニン色素
  2. カロテノイド
  3. 構造色

それに加え、遺伝的因子によるバリエーションが加わります。

  • 文鳥:メラニン色素のみ
  • 錦華鳥・カナリア:メラニン色素+カロテノイド
  • コキンチョウ:メラニン色素+カロテノイド+構造色

上記のバランスから、それぞれのフィンチで色変わりがどのように発生するか解説されていて、とても興味深い内容でした。

 

ハズバンダリートレーニング「抱っこ」

今回、ハズバンダリートレーニングとして、愛鳥を抱っこできるようにトレーニングする方法について、動物行動コンサルタントの青木愛弓氏が解説されました。

ハズバンダリートレーニングは受診動作訓練とも言われ、生き物の採血や検温といった健康管理、緊急時の治療や投薬がしやすい体勢を取ることを覚えさせることを意味します。

トレーニングによってどういったことができるようになるのか、ハズバンダリートレーニングのメリットについて紹介されました。

ハズバンダリートレーニングで抱っこをどのように行っていくのか、ステップごとに紹介し、それぞれのステップで刺激を増やしていくという流れで解説があり、とても分かりやすかったです。

 

鳥カタログはハネナガインコとアヒル

コンパニオンバードのお馴染みの鳥カタログでは、ハネナガインコ系が取り上げられました。

  • トウアオオハネナガインコ
  • ズアカハネナガインコ
  • アカハラハネナガインコ
  • ネズミガシラハネナガインコ

上記の4種類のハネナガインコについて生態や特徴について解説がありました。

その他にも家禽としてお馴染みのアヒルも、コールダックとペキンダックの2種類が紹介されました。

 

リトルバード小嶋院長による腫瘤と腫瘍の違い

リトルバード院長の小嶋氏による連載「知っておきたい鳥のからだのこと」では、飼い鳥の腫瘍について取り上げられました。

かつて飼い鳥は感染症などで亡くなることが多かったですが、近年は寿命も伸びたため、人間同様に腫瘍などが問題になってきました。

腫瘍の前に「腫瘤(しゅりゅう)」という腫れて瘤のようになっている腫れ物について解説がありました。腫瘍と腫瘤は似ていますが、すべての腫瘤が腫瘍ではありません。

さらに、腫瘍には浸潤や転移を起こす悪性腫瘍と、転移しない良性腫瘍の2種類があります。問題になりやすい悪性腫瘍にはどういったものがあるのか3種類紹介され、いずれも人間でいうところのガンであると紹介がありました。

飼い鳥ではどういった部位で腫瘍が発生するのか2013年~2017年の病理検査の結果から紹介がありました。67%が皮膚で発生しており、以降生殖器が7%と続いています。この結果から、鳥は皮膚に腫瘍ができやすい傾向が示されました。

そして、腫瘍ができた場合の治療方法や、まだ仮説レベルとして予防についても少し言及されています。

内容的にも非常に難しい記事でしたが、他で学ぶ機会が少なく、非常に勉強になる内容でしたので、ぜひ一読をオススメしたい連載です。

 

まとめ・終わりに

今回、2019年6月13日に発売されたコンパニオンバードNo31の書評・レビューを行いました。

健康診断から色変わり、ハズバンダリートレーニングなど愛鳥家にとって関心が深いテーマで勉強になる内容ばかりでした。

さらに、リトルバード院長の小嶋氏の「知っておきたい鳥のからだのこと」では、腫瘍について紹介され、なかなか難しい内容ですが、飼い主として鳥の腫瘍を学べる素晴らしい記事でした。

愛鳥家の為になる内容が盛りだくさんだったので、オススメです。ぜひ、ご興味ある方は、コンパニオンバードNo31を入手して読んでみてください。