インコのルチノーの性別はオスよりもメスが多い理由は?遺伝子の観点から解説
オカメインコに多い品種であるルチノーの性別は、実はオスよりもメスのほうが多いです。
なぜ、オスのルチノーよりもメスのルチノーのほうが産まれやすいのか?
鳥類の染色体とルチノー遺伝子の特徴にメスが多い理由があります。
ルチノーのインコはメスが多い
オカメインコのルチノーやセキセイインコのルチノーなど、インコの色変わりとしてルチノー品種がいます。
ルチノーは野生には存在しない種類で、人間による繁殖が行われた結果、生まれました。
そんなルチノーですが、性別を判定するとメスの個体である割合が高いです。
ルチノーのオスというのは珍しいため、性別が分からずルチノーをお迎えすると、メスだったケースが多いです。
ルチノーの性別は、インコが持つ遺伝子によって決まる仕組みになっています。
人間の性別が決まるメカニズム
人間の性別を決定する染色体構造は、X染色体とY染色体の2種類があります。
このX染色体とY染色体の2つの組み合わせによって、男女が決まります。
- X染色体が2個の場合:女性
- X,Y染色体1個ずつの場合:男性
なお、Y染色体が2個のケースがありませんが、女性(XX)と男性(XY)の交配を考えると、そのケースは起こり得ないことが分かります。
※記載している性別は生物学的なものです。
鳥類の染色体は人間と反対
対する鳥類の染色体構造は人間と異なっています。
鳥類の性別を決定する染色体構造は、W染色体とZ染色体の2種類があります。
人間同様に、W染色体とZ染色体の組み合わせで性別が決まりますが、その組み合わせが人間と違っています。
- W,Z染色体1個ずつの場合:女性
- Z染色体が2個の場合:男性
人間は同じ染色体2個だと女、違う染色体1個ずつだと男だったのが、鳥は同じ染色体2個だとオス、違う染色体1個ずつだとメスになります。
ルチノー遺伝子はZ染色体に存在
ルチノー遺伝子は、鳥類が持つ染色体の中でZ染色体に含まれている遺伝子です。
ルチノーを含めた、ノーマルやシナモンといった色変わりに関わる遺伝子はすべてZ染色体に含まれており、W染色体はそうした羽色を決める要素はありません。
ルチノー遺伝子は劣性遺伝で、他の遺伝子があると見た目の形質が現れにくい遺伝子です。
オスとメスのルチノーが生まれる割合
Z染色体2個を持つオスの場合、1つがルチノー遺伝子、もう1つがノーマル遺伝子だと見た目がノーマルになります。
Z染色体2個ともルチノー遺伝子だった場合のみ、オスのルチノーが誕生します。
そのため、Z染色体2個の組み合わせでいうと、オスのルチノーは25%の確率です。
それに対し、メスは1個のZ染色体がルチノー遺伝子を持つ場合でも、ルチノーが誕生します。
そのため、Z染色体W染色体の組み合わせでいうと、メスのルチノーは50%の確率です。
以上から、ルチノー遺伝子の組み合わせからルチノーはメスのほうが割合が多くなります。
「とりほん」でもルチノー性別のエピソードが
なお、飼い鳥のほんねがわかる本として2020年9月に発売された「とりほん」でも、ルチノーにメスが多いことが紹介されています。
さらに、ルチノーの遺伝に関わるエピソードの他に母鳥は子の性別を産み分けるという説も紹介されていて、興味深い内容です。
まとめ・終わりに
今回、インコのルチノーにはメスが多い理由について紹介しました。
ルチノー遺伝子は劣性遺伝と呼ばれる形質が現れにくい遺伝子のため、オスの場合、ルチノー遺伝子が2個ないとルチノーになりません。
それに対し、メスはルチノー遺伝子1個でルチノーになるので、ルチノーはメスの割合が多くなります。
ただし、インコの遺伝はかなり複雑になっており、今回説明したしくみに当てはまらない品種も存在します。
なお、紹介したルチノーの遺伝による性別のエピソードは「とりほん」に紹介されています↓
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