【鳥ニュース】アメリカで野鳥の異常行動・変死が発生~ムクドリやカラスの身近な鳥が被害
アメリカで野鳥が異常な行動を起こしたり、変死しているというニュースが報じられています。
首都であるワシントンD.Cを中心に、ムクドリやカラスなど人間に身近な野鳥でそうした異常行動・怪死が広がっています。
ニューズウィークがアメリカの野鳥の異常行動を報じる
アメリカの雑誌「Newsweek」の日本版のニュースサイトで、アメリカでの野鳥の異常行動・怪死が相次いでいるとのニュースが2021年7月1日に報じられました。
野鳥の異常行動・怪死相次ぐ 目が腫れ上がり、人を恐れず…米(ニューズウィーク日本版 オフィシャルサイト)
※リンク先の記事ページには亡くなった野鳥の写真が掲載されているので、閲覧にご注意ください。
飛ばずにふらふらする行動や人の手に乗るなど、通常の野鳥では見られないような異常なふるまいが目撃されています。
さらに、家の庭先や路上で死亡している個体の目撃例も増加しているとのことです。
目が腫れ上がったり、視力を失うなど異常な目の症状
異常行動を見せている野鳥や死亡している個体では、伝染病にかかったような見た目の異常が報告されています。
その中でも顕著な症状として報告されているのが目に関する異常です。
目が異常に腫れがってしまっていたり、目から出た大量の分泌液が固まり、塞がれてしまうなどの症状が見られています。
その他にも、神経系の異常も疑われており、この点が前述した異常行動を引き起こしている可能性があります。
残念ながら既存の治療法は効果がないため、安楽死しか選択肢がない状況です。
対象種はカラスやムクドリなどの身近な野鳥
異常行動や変死を遂げている野鳥としては、当初は以下の3種が確認されていたとのことでした。
- ムクドリ
- アオカケス
- オオクロムクドリモドキ
しかし、時間が経過するとともに、他の種類の野鳥にも異常行動が広がってきたそうです。
- カラス
- シジュウカラ
- コマドリ
日本でも馴染みがある種類の鳥にも異常行動が拡大しており、現時点では10種を超える種類で、異常行動が確認されているそうです。
首都ワシントンD.Cを中心に増加傾向
野鳥たちの異常行動・変死は、最初はアメリカ合衆国の首都であるワシントンD.Cで確認されていました。
初めて異常行動による鳥の変死が確認された例が、2021年の4月11日に野生保護団体に持ち込まれた一羽でした。
それから、ワシントンD.C近郊の以下の州でも、異常行動の野鳥が確認されています。
- メリーランド州
- バージニア州
- ウエストバージニア州
- オハイオ州
- インディアナ州
- ケンタッキー州
- メリーランド州
3ヶ月程度で7つの州でも報告が発生されており、アメリカの他の州への拡大も懸念されます。
野鳥の異常行動・変死の原因は不明
アメリカで発生している野鳥たちの異常行動や怪死については現時点では、原因が特定できていません。
ニューズウィークの記事によると、インディアナ州の野生生物局では、鳥インフルエンザとウエストナイル熱の感染症の可能性を疑い、亡くなった個体を検査しました。
けれども、鳥インフルエンザとウエストナイル熱いずれも検査結果は陰性で、ウイルス感染による原因ではありませんでした。
今のところは原因として未知の感染症であるとして、2021年が17年周期に大量発生するセミの可能性に言及しています。
大量に発生したセミを駆除するために、殺虫スプレーが散布されました。
その殺虫スプレーに含まれる有毒な成分がセミに付着し、そのセミを食べた野鳥で症状が発症したという可能性です。
異常行動が目撃された時期がセミが羽化と一致することや殺虫スプレーの散布地域と一致している点で原因ではないかと推測されています。
本当に原因かという点はまだ特定できてはいないものの、殺虫スプレーが原因として濃厚であることから、散布を止めることが呼びかけられています。
アメリカの動画ニュースでも取り上げ
アメリカのニュースメディアは、今回の野鳥の異常行動について動画で報じています。
※2つ目の動画には亡くなった野鳥の写真が紹介されるので、ご注意ください
英語のニュースですが、現在の発生状況を分かりやすく動画で説明しています。
まとめ・終わりに
今回、アメリカで野鳥が異常行動を取り、変死している個体が増えているニュースを紹介しました。
飛ぶことができずにフラフラしたり、人の手に乗るなど、通常では考えられない異常行動を見せ、亡くなった個体の目撃も増加しています。
原因については特定はできてはいませんが、17年周期のセミが発生したことによる殺虫スプレーの散布の可能性が疑われています。
かつてレイチェル・カーソンも「沈黙の春」でDDTなどの農薬によって、森から鳥たちの鳴き声が失われたことを伝えました。
そのため、殺虫スプレーによって鳥たちが危機に晒されているなら、殺虫スプレーの散布を停止し、有毒物質が付着したセミの回収など、被害拡大を防ぐ対応が求められます。
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