インコのフリーフライトは迷子・ロストに繋がる恐れも!隔離スペースでの飛行を推奨

2021年7月18日インコお世話

インコのフリーフライトは健康的なメリットの反面、ロスト・迷子の危険性が高いため、要注意

インコのフリーフライトに関する是非がTwitterなどで話題になっています。

フリーフライトは飼い鳥の健康面でよい効用をもたらすという報告もある反面、迷子・ロストを招く危険性もはらんでいます。

※フリーフライトにおけるリスクとして飼い鳥+野鳥の双方に影響をもたらす感染症について追記しました。

 

フリーフライト中のロストがSNSに投稿

大型インコがフリーフライトの最中にロストし、迷子捜索のSNS投稿が行われました。

その際に、フリーフライトで起きた迷子という点に、愛鳥家からの批難や意見が相次いでいます。

  • フライトスーツの着用なしに飛翔させることで、ロストを招くのは分かること
  • リスクあるフリーフライトが本当に必要なのか?

意見を確認していると、フリーフライトに対し、否定的な見解を述べている愛鳥家が多いです。

※今回の一件では、迷子鳥を必死に捜索している飼い主を責めてはいけません。

 

インコのフリーフライトの効用

もちろんフリーフライトには、インコにとってよい効果をもたらすとされています。

飛翔している大型オウムのキバタン~飛翔によって運動不足を解消し、骨粗しょう症のリスク低減

Twitterで相互フォローしている愛鳥家のHIROさんが、フリーフライトが飼い鳥にもたらす健康効果についてまとめられています。

大きな身体で日々一定の運動量が求められる大型インコ・オウムにとって、室内で飛べない状態によって運動不足を招きます。

運動不足が骨粗しょう症の原因となる恐れがあり、それをフリーフライトによる運動が改善につながるとのことです。

家庭内の狭い空間ではない、広い外をフリーフライトすることで飼い鳥のメンタルや視力、知能にもよい影響をもたらすとの研究が報告されています。

 

フリーフライトはインコの迷子・ロスト事故と隣合わせ

しかし、フリーフライトは危険との隣合わせです。

フリーフライトでインコやオウムが迷子・ロストしてしまう恐れがあります。

さらに、外にいるカラスや猛禽類、外猫といった天敵に襲われるリスクもあります。

そうした点でフリーフライトは、命を失う脅威にさらされており、簡単に真似してやってはいけません。

 

飼い鳥をコントロールするのは不可能

研究者などの報告では、インコやオウムの知能は2歳~5歳程度と推定されています。

この年齢というのは、人間でいうところの未就学児に相当します。

成鳥のインコ・オウムは人間でいうところの幼児に相当。親による保護が必須の状態

未就学児というのはまだ危機管理能力や判断能力が備わっていません。

そのため、未就学児を持つ親は、野外やお風呂など危険がある空間では必ず保護下におきます。

飼い鳥に関しても、野鳥たちのように屋外の天敵や危険に対する察知し、回避する能力は育っていません。

※野鳥でもそうした危機回避能力がない個体が天敵に襲われ、命を落としています。

インコやオウムの場合、身体は大人の成鳥になっているため、人間の手が届かない場所まで飛行することができてしまいます。

アカコンゴウインコの飛翔の様子

そうした点で、フライトスーツやキャリーなしに飼い鳥を屋外でコントロールすることは不可能です。

飼い鳥を連れて外に出る際は飼い主がキャリーなど隔離できるスペースに入れ、庇護下におく必要があります。

 

フリーフライトは隔離スペースで実施が推奨

ただ、前述した通り、飼い鳥を飛翔させることによる健康効果というのはもちろんあります。

そのため、フリーフライト自体が絶対にやっていはいけないものではありません。

だからこそ、フリーフライトを実施する場合は、リスクを低減させる必要があります。

例えば、屋外環境で一定の広さがある環境で、迷子対策として網などで囲った空間であれば、ロストを防ぐことができます。

埼玉県にあるキャンベルタウン野鳥の森も施設全体が大きな網に覆われています。

埼玉県・越谷市にあるキャンベルタウン野鳥の森の外観。施設全体が網で覆われている。

施設内の鳥たちが外に出てしまわないように工夫され、鳥たちは敷地内を自由に飛び回っています。

ややフリーフライトという言葉からは外れるかもしれません。

しかし、このようにすれば、飼い鳥を飛翔させることと迷子防止を両立させることができます。

フリーフライトを行う場合は、こうした飼い鳥のロスト対策を講じた上での実施が推奨されます。

もちろん、その分費用がかかることになりますが、それは迷子というリスクを減らすための保険として必要な費用です。

 

【追記】フリーフライトで飼い鳥・野鳥双方の感染症リスクも

フリーフライトに関する愛鳥家の間での議論で、感染症に関するリスクについても言及されていました。

フリーフライトでインコが木の枝に止まったとき、その枝には野生動物や野鳥のフンが付着していることもあります。

そうすると、野鳥などが持っている感染症が飼い鳥に伝染してしまう可能性があります。

感染症の代表例である鳥インフルエンザは毎年日本で発生し、野鳥から家禽に感染が広がり、殺処分されるニュースが報じられています。

逆に飼い鳥側がなにか病原菌を持っていた場合、それが野鳥に伝染する恐れもあります。

鳥類は空を飛ぶために極限まで身体を軽くするため、人間よりも短いスパンで排泄します。

排泄物を通じて飼い鳥のインコ・オウム→野鳥に病原菌が感染ってしまうと、野鳥への影響も大きいです。

そのため、フリーフライトにおいては飼い鳥・野鳥の双方の感染リスクによる影響も考慮しなければなりません。

 

まとめ・終わりに

今回、インコ・オウムのフリーフライトについて、その効果や迷子・ロスト事故のリスクを紹介しました。

フリーフライトは特に大型インコ・オウムの健康面で運動不足の改善に繋がりますが、迷子事故と隣合わせです。

飼い鳥は人間に飼われているため、外の危険や天敵について学んでいません。

だからこそフリーフライトでは事故やロストが起こるリスクがあります。

リスクを承知の上でフリーフライトを行いたい場合は、迷子や天敵に襲われない隔離スペースで行うことが推奨されます。

ただ、今回の一件で、ロストしてしまった飼い主を責めることはいけません。

今も飼い主の方は様々な手段で必死で愛鳥を捜索しています。

飼い主を糾弾するのではなく、どうすればロストの事故を防げるか、建設的な議論を行うことが大切です。

迷子になってしまったインコが一日も早く保護されることを願っています。