鳥ボルナウィルスとは?インコなどの愛鳥に様々な病気をもたらす恐ろしいウイルス

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鳥ボルナウィルスとは?インコなどの愛鳥に様々な病気をもたらす恐ろしいウイルス

インコなどの愛鳥が感染するウイルスの1つに、「ボルナウィルス」があります。ボルナウィルスは、鳥が感染するウイルスでPDD(腺胃拡張症)などの恐ろしい病気を引き起こします。それ以外にも、色々な病気を引き起こす原因であることが分かってきました。今回、そんなボルナウィルスについて紹介したいと思います。

 

ボルナウィルスとは?

ボルナウィルスとは、モノネガウイルス目に属するウィルスの一種です。分類学的には、モノネガウイルス目ボルナウイルス科ボルナウイルス属に含まれています。ボルナウィルスには感染対象よって以下の2種類があります。

  1. 哺乳類に感染するボルナ病ウイルス(BDV)
  2. 鳥類に感染する鳥ボルナウイルス(ABV)

PDDの原因と疑われているボルナウィルスのイメージ図

いずれも神経系組織に感染し、さまざまな神経疾患を発症することが明らかとなっています。今回は、2つ目の鳥類に感染する鳥ボルナウィルスにフォーカスします。鳥ボルナウィルスには遺伝子構造から少なくとも9種類あることが判明しています。

 

ボルナウィルスはPDD(腺胃拡張症)の原因

ボルナウィルスに感染することで発症することが知られている愛鳥の病気に、PDD(Proventricular Dilatation Disease)、腺胃拡張症があります。ボルナウィルスが消化器官の神経に感染すると、腺胃の神経節炎による麻痺を引き起こし、腺胃平滑筋の弛緩が起こり、腺胃が拡張する病気です。発症すると完治する治療方法が存在しない恐ろしい病気です。

PDD(腺胃拡張症)の詳細は以下の記事をご参照ください。

インコ・オウムが発症するPDD(腺胃拡張症)とは?原因と症状、治療方法を解説

 

ボルナウィルス感染が他の病気の発症原因にも

ボルナウィルス感染は、PDD以外の他の病気も発症します。他にボルナウィルス感染が原因と言われているのは「毛引き症」です。完全に因果関係までは判明してはいませんが、毛引き症を発症したインコがボルナウィルスに感染していたり、ボルナウィルスを投与されたオカメインコ3羽のうち、1羽で発症したケースが報告されています。

また、脳などの細胞でもボルナウィルスが感染した場合にも、PDDと異なる神経疾患を発症するそうです。

 

ボルナウィルスの検査方法は検便によるPCR検査

ボルナウィルスの検査方法は、愛鳥の糞便をPCR検査によって、ボルナウィルスの有無を検出します。横浜小鳥の病院では、ボルナウィルスの検査を行っています。

【非常に重要】鳥ボルナウイルス検査開始のお知らせ(横浜小鳥の病院ブログ)

なお、検査結果が陰性であっても、検出できなかった可能性があります。

 

まとめ・終わりに

今回、PDDなどを引き起こす原因ウィルス、ボルナウィルスを取り上げました。ボルナウィルスには、哺乳類が感染するボルナウィルス病と鳥類が感染する鳥ボルナウィルスの2種類があります。鳥ボルナウィルス(ABV)に感染すると、PDDなどの消化器の毛引き症を引き起こすと言われています。特にPDDは完治する方法は確立されておらず、対症療法による治療になります。

さらに、鳥ボルナウィルスは、他にも色々な神経性疾患を引き起こすとされ、まだまだ謎が多いウイルスです。ぜひ、愛鳥家の方は、存在を知っておいてください。