鳥にやさしいバードフレンドリーコーヒーとは?その定義と認証された購入可能な珈琲を紹介
鳥にやさしいバードフレンドリーコーヒーというのをご存知でしょうか?
通常のコーヒーとは異なり、渡り鳥の生息地を増やす栽培方法によって生産されたコーヒーです。
バードフレンドリーコーヒーの意味や歴史、認証を受けたバードフレンドリーコーヒーの商品で、一般に購入可能なものを紹介したいと思います。
バードフレンドリーコーヒーとは?
バードフレンドリーコーヒーとは、「渡り鳥が休憩する森で生まれたコーヒー」を意味します。
シェードグロウン栽培と呼ばれる栽培方法と、有機栽培を行っているコーヒー農園に対し、バードフレンドリーの農園の認証が与えられます。
このバードフレンドリー認証を受けた農園で生産されたコーヒーは、通常のコーヒー豆の単価よりも高い価格で買い取られます。
そうすることで、生産農家を支援しながらも、森林伐採を防ぎ、渡り鳥の生息地を守ることができます。
バードフレンドリーコーヒーの歴史
元々1990年後半ごろから、北米と中南米を行き来する渡り鳥の数が減少していることが判明しました。
その理由について確認するため、世界最大の学術研究機関であるスミソニアン協会が「スミソニアン渡り鳥センター」を設立しました。
そのスミソニアン渡り鳥センターの研究者が調査した結果、シェードグロウン栽培のコーヒー農園が渡り鳥の生息地になっていることを発見します。
それを受け、1999年にバードフレンドリーコーヒーの認証プログラムがスタートしました。
バードフレンドリーコーヒーでは、売上の一部がスミソニアン渡り鳥センターの研究資金として、渡り鳥を保全するための研究にも活用されます。
シェードグロウン栽培とは?
バードフレンドリーコーヒーの認証の条件となるシェードグロウン栽培とは、どういった栽培方法なのか、その定義とメリット・デメリットを紹介します。
シェードグロウン栽培の定義
シェードグロウン栽培は、英語で「Shade(日陰) grown(育つ)」と書き、日陰でコーヒーの木の栽培を行います。
シェードグロウン栽培は、その他にシェードツリー栽培と呼ばれることがあります。
かつてコーヒー農園ではコーヒー豆の生産性を高めるため、サングロウン栽培という直射日光下でコーヒーの木の栽培が行われることが多かったです。
サングロウン栽培よりも熱帯雨林の自然環境とマッチさせた栽培方法がシェードグロウン栽培になります。
シェードグロウン栽培のメリット
コーヒーの木を日陰で育てることは、熱帯雨林の原生林に近い状態で栽培することになります。
熱帯雨林の木々によって、地面が直射日光を浴びずに済み、熱帯雨林の基礎となる土壌を保護することができます。
さらに、コーヒーの木も他の木々に守られるため、葉が日光で焼けずに済みます。その結果、コーヒー農園が渡り鳥の生息域となる役割を果たします。
シェードグロウン栽培がおこなわれている農園には渡り鳥を含む、様々な生き物たちが暮らしています。そうした生き物が害虫駆除にも一役を担い、有機栽培が可能となります。
また、直射日光に晒す効率的なサングロウン栽培に比べ、シェードグロウン栽培はコーヒーの木の成育に必要な水も少ないため、環境にもやさしい栽培方法です。
シェードグロウン栽培のデメリット
シェードグロウン栽培のデメリットは、コーヒー栽培に手間がかかることが挙げられます。
コーヒーの木の周りには、木陰となるための木々が植えられ密林状態になるため、機械のよるコーヒーの収穫などが難しくなり、手作業で行わなければならない農作業が増えます。
そのデメリットを補うため、手間がかかった分だけ値段を上乗せしたプレミアム価格での買取が行われています。
バードフレンドリーコーヒーの認定基準
シェードグロウン栽培によるバードフレンドリーコーヒーの認定基準は、厳しい条件があります。
- 農園全体の40%以上が12m以上の木々で覆われていること
- 農園内に11種類以上の在来種の木々がなければならない
等の条件をクリアし、認証機関による認証を受ける必要があります。
認証を受けたコーヒーには、上のバードフレンドリー認証マークを付けることができます。
どこの珈琲農園で栽培されている?
バードフレンドリーの認証を受けたコーヒー農園は、現在、12か国の27つほどあります。
- グアテマラ
- ペルー
- メキシコ
- ニカラグア
- エルサルバドル
- ホンジュラス
- コロンビア
- エクアドル
- ボリビア
- エチオピア
- インド
- タイ
面積で表すと、約7000ヘクタールもの広大な土地に広がっています。
※バードフレンドリーコーヒーの認証を受けているコーヒー農園については、スミソニアン協会HPにて調べることができます。
バードフレンドリーコーヒーの商品
日本国内でバードフレンドリーコーヒーの商品を一般向けに販売しているのは、以下の2社です。
- 小川珈琲
- KALDI
小川珈琲は、日本で初めてバードフレンドリー認証コーヒーを2005年から発売しています。
小川珈琲店 有機珈琲バードフレンドリーブレンド 粉 170g(Amazon)
KALDIもその翌年の2006年からバードフレンドリー認証コーヒーの販売をスタートしました。
有機バードフレンドリー(R)ブレンド 1p(KALDIオンラインショップ)
※KALDIでは、かつてドリップパック以外にもそのまま飲める紙パックタイプのバードフレンドリーコーヒーも発売されていましたが、現在は発売終了しています。
いずれの商品のパッケージにも、バードフレンドリーの認証マークが表示されています。
これらのバードフレンドリーコーヒーは各種店舗に加え、Amazon・楽天市場などのネットショップでも購入することができます。
その他にも業務用コーヒーで、UCCが2017年にバードフレンドリーコーヒー認証を受けた「ECO-GREEN」の取り扱いを行いました。
ただし、ECO-GREENは業務用のため、店舗等の卸売りが基本です。
まとめ・終わりに
今回、バードフレンドリーコーヒーについて紹介しました。
バードフレンドリーコーヒーとはシェードグロウン栽培と有機栽培を行っている、渡り鳥の生息地となると認証されたコーヒー農園で生産されたコーヒーです。
通常の栽培に比べ手間がかかるため、その分プレミアム価格で取引されています。
さらにバードフレンドリーコーヒーの売り上げの一部が渡り鳥を保全するための研究に活用されます。
そのため、飲むコーヒーをバードフレンドリーコーヒーに変えることで、渡り鳥の生態を守る支援になります。
ぜひ、ご興味がある方は、日本でバードフレンドリーコーヒーを販売している小川珈琲、またはKALDIでバードフレンドリーコーヒーを購入してみてください。
ディスカッション
コメント一覧
まだ、コメントがありません