ワシントン条約(CITES,サイテス)のまとめ~初心者のためのサイテス入門

2016年10月4日鳥ニュース

ヨウムがサイテス附属書Ⅰに登録

2016年10月3日のワシントン条約会議で、ヨウムの国際取引禁止が合意されたニュースをお伝えしました。(記事はこちら)

TwitterなどのSNSでは、非常に話題になっているので、ここでワシントン条約会議についてまとめてみました。ワシントン条約とはどういったものなのか知らない人向けに解説したいと思います。

 

ワシントン条約とは

ワシントン条約というのは、実は通称です。正式には、「Convention on International Trade in Endangered Species of Wild Fauna and Flora」といいます。それぞれの頭文字をとり、CITESは『サイテス』と呼ばれています。

日本語での正式名称は、『絶滅のおそれのある野生動植物の種の国際取引に関する条約』です。1973年にアメリカ合衆国のワシントンD.Cで条約の採択が決定されたため、ワシントン条約という通称になっています。日本は、1980年にこの条約を締結し、条約の決まりに従うようになりました。

 

ワシントン条約の内容

条約の目的としては、以下が掲げられています。

「野生動物の国際取引が乱獲に発展し、種の絶滅しないように、国際間の取引を規制する条約」

絶滅が危惧される生き物をリストアップし、希少性に応じて3ランクに以下のように分類しています。

  • 希少性:低→附属書Ⅲ
  • 希少性:中→附属書Ⅱ
  • 希少性:高→附属書Ⅰ

希少性が高い生き物ほど、附属書Ⅰに分類される仕組みです。個体数が減少した調査から、附属書Ⅱから附属書Ⅰに格上げされたりします。また、ケースは少ないですが、個体数の回復傾向が見えたりした場合に、附属書Ⅱから附属書Ⅲに変更されるケースもあります。

不幸にも絶滅してしまった種については、保護対象外となり、附属書から削除されることになります。

 

附属書による取引規制の違いは何か

附属書はⅠ~Ⅲの三種類あります。それぞれが、以下のような取引の制限があります。

附属書Ⅲの取引制限

絶滅のおそれはないが、ある地域内で絶滅の恐れがある種がリストアップされます。国際取引する場合に、輸出許可証や、原産地証明書が必要ですが、国内の取引や、一般の飼い主は特に対応は不要です。また、インコ・オウムについては、附属書Ⅲに掲載されている種はありません

附属書Ⅱの取引制限

国際取引を規制しないと、絶滅の恐れがある種がリストアップされます。こちらも商業取引は可能ですが、国際取引の際に、輸出国政府の発行する輸出許可書等が必要です。附属書Ⅰに掲載の種、附属書に掲載されていない、セキセイインコ、オカメインコ、コザクラインコ、ホンセイインコを除く、すべてのインコ・オウムについては附属書Ⅱに掲載されています。こちらも、国内の取引や、一般の飼い主は特に対応は不要です

附属書Ⅰの取引制限

国際取引により、絶滅の可能性が高い種がリストアップされます。野生種ではなく、繁殖個体であることの証明された登録証が必要です。国内取引においても、登録された個体でないと著しく取引が制限されます譲渡などでも適用されるので、今飼われている人も登録をオススメします。

 

附属書Ⅰの掲載リストについて

附属書Ⅰに掲載されている生き物を紹介します。今回の付属書は、すべて紹介するのは大変なので、鳥の種類としては、インコ・オウムが属する「オウム目」を対象としています。すでに、かなりの種類のインコ・オウムがいてビックリされるかと思います。

オウム科、オウム類

  • シロビタイムジオウム
  • フィリピンオウム
  • オオバタン
  • コバタン
  • ヤシオウム
  • フクロウオウム

ヒインコ科、ヒインコ類

  • ヤクシャインコ
  • コンセイインコ

インコ科(ボウシインコ類、バタンインコ類、コンゴウインコ類)

  • アカノドボウシインコ
  • キエリボウシインコ
  • キボウシインコ
  • アカオボウシインコ
  • フジイロボウシインコ
  • オウボウシインコ
  • ミカドボウシインコ
  • サクラボウシインコ
  • キガシラボウシインコ
  • アカソデボウシインコ
  • アカマユボウシインコ(アカボウシインコ)
  • カラカネボウシインコ
  • イロマジリボウシインコ
  • ブドウイロボウシインコ
  • メキシコアカボウシインコ
  • アカビタイボウシインコ
  • スミレコンゴウインコ全種
  • ヒワコンゴウインコ
  • アカキコンゴウインコ
  • コンゴウインコ(アカコンゴウインコ)
  • ミドリコンゴウインコ
  • アカミミコンゴウインコ
  • アオコンゴウインコ
  • ノーフォークインコ
  • チャタムアオハシインコ
  • アオハシインコ
  • ニューカレドニアアオハシインコ
  • アカガオイチジクインコ
  • ヘイワインコ
  • ニョオウインコ
  • アカハラワカバインコ
  • キミミインコ
  • ヒメフクロウインコ
  • キジインコ
  • ヒガラシインコ
  • ヤマヒメコンゴウインコ
  • アカビタイヒメコンゴウインコ
  • キビタイヒスイインコ
  • ヒスイインコ
  • ゴクラクインコ
  • モーリシャスホンセイインコ(シマホンセイインコ)
  • アオマエカケインコ
  • ハシブトインコ(ハシブトインコ、クリムネインコ)

 

すでに附属書Ⅰには、これだけ多くのインコ・オウムがリストアップされている状態で、今回の決定で、この中にヨウムが追加されることになります。

ヨウムがサイテス附属書Ⅰに登録

附属書Ⅰに入ると、ペットで飼えないの?

附属書Ⅰに入ったからといっても飼えなくなることはないです。野生種ではなく、繁殖個体については、きちんと証明された登録証があれば、輸入することも可能です。もちろん国内で繁殖された個体も可能です。しかし、取引には必ず登録証が必要になります。

附属書Ⅰにリストアップによる影響

ワシントン条約会議の決定を受けた90日後に、その決定内容が日本国内でも適用され、附属書Ⅰにリストアップされます。そのため、附属書Ⅰで希少種だから、珍しいと考え、適用される前に、飼おうとして、個体の値段が大幅に上昇したり、販売数が増え、ますます野生種の減少に拍車をかけるといったことも起こるそうです。

 

というわけで、今回ワシントン条約についておさらいしてみました。また、随時情報があり次第、更新していきたいと思います。