【鳥ビア】炭鉱のカナリアとは?歴史的由来と意味について
炭鉱のカナリア(英語:Canary in the coal mine)という慣用句があります。
これは、ヨーロッパなどで炭鉱夫が、石炭を採掘する際に、炭鉱に鳥かごに入れたカナリアを持ち込んでいたことに由来します。
この「炭鉱のカナリア」についての意味と、その歴史について、鳥ビアとしてまとめたいと思います。
カナリアとは?
カナリアは、飼い鳥として人気のフィンチの一種です。
元々は大西洋のカナリア諸島に生息していた小鳥でした。
美しいさえずりを奏でることから、ヨーロッパなどを中心に飼い鳥としての人気が高まり、世界中で飼育される愛鳥です。
炭鉱のカナリアの意味と由来
炭鉱のカナリアという慣用句は、石炭を採掘する炭鉱夫が炭鉱に入る際に、カナリアを鳥かごに入れて連れて行った歴史に由来します。
炭鉱において発生するメタンガスや一酸化炭素などの毒ガスを検知するための目的で、カナリアが用いられました。
カナリアは、無臭のガスにも敏感に反応します。
常にさえずりを奏でていたカナリアが、鳴き止んだ時、炭鉱夫たちは有毒ガスの危険を察知できます。
それによって炭鉱夫の命を守る役割を果たしていました。
ちなみに炭鉱のカナリアは、英語で「Canary in the coal mine」と表現します。
オウム真理教のサリン事件でも使用
なお炭鉱のカナリアは、近代のヨーロッパだけでなく、平成に入った現代の日本でも活用事例がありました。
それは、1995年にオウム真理教が起こした地下鉄サリン事件などのテロ事件の捜査です。
オウム真理教は、VXガスやサリンなどの化学兵器を製造し、松本サリン事件や地下鉄サリン事件などの平成史に残るテロ事件を引き起こしました。
警察がオウム真理教の本部に突入する際に、こうした化学兵器から捜査員を守るために使われたのが、カナリアでした。
カナリヤの入った鳥かごを手にオウム真理教施設の家宅捜索に向かう捜査員(時事通信)
目黒区にある警視庁第三機動隊の石碑にはオウム事件の捜査に参加した360人の名前と、カナリア2羽の名前が刻まれています。
捜査に参加したカナリアで生き延びた2羽はつがいとなり、その後子孫を設け、「ピース」と名付けられたそうです。
さらに、2015年に行われたサリンを想定したテロ訓練では、炭鉱のカナリアではなく、最新式のガス検知装置が用いられました。
金融用語でも利用
実は炭鉱のカナリアという慣用句は、金融用語としても使われています。
「何らかの危険が迫っていることを知らせてくれる前兆」
として、株価急落や相場の急変、バブル崩壊などを示すシグナルという意味で用いられています。
まとめ・終わりに
今回、「炭鉱のカナリア」について、その意味と歴史的な由来を紹介しました。
メタンガスなどの有毒ガスが発生する炭鉱において、毒ガス検知の目的でカナリアが用いられていました。
また、日本でも平成に発生したオウム真理教のサリン事件の捜査で活用されました。
ただ、ガス検知装置の発達によって、炭鉱のカナリアは姿を消しつつあります。
こうした科学技術の進歩によって、カナリアが犠牲にならなくなったことは喜ばしいことだと感じます。
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