インコ・オウムの飼い主は要注意の鳥関連過敏性肺炎とは?発症原因と症状、予防方法を解説

2018年8月29日インコお世話,鳥の病気

鳥関連過敏性肺炎

以前、鳥アレルギーの危険性に取り上げました。その中で、危険なのが、「鳥関連性過敏性肺炎」と呼ばれる病気です。鳥アレルギーによって肺で炎症が起きることで発症し、咳や息切れ、呼吸困難を引き起こします。重症化すると、命にもかかわる病気です。今回、鳥関連性過敏性肺炎について原因、症状、予防方法をまとめてみました。

※鳥アレルギーについてまとめた記事はこちら→愛鳥の脂粉でアレルギー発症の危険性?飼い主が注意したい鳥アレルギーの予防・対策

 

鳥関連過敏性肺炎とは

過敏性肺炎は、アレルギーなどによって誘発されるアレルギー疾患です。鳥関連過敏性肺炎とは、鳥へのアレルギーによって起こる肺炎です。鳥を飼っている人が多く発症することから、「鳥飼病」とも呼ばれています。

 

鳥関連過敏性肺炎の発症原因

鳥関連過敏性肺炎は、鳥アレルギーになることで発症する病気です。そのため、鳥アレルギーの原因となる抗原物質を体内に摂取してしまうことが原因です。

原因となる抗原物質は、鳥の体内から出る「ブルーム」というとても小さなたんぱく質です。プルームを含んだ原因物質として、以下が挙げられます。

  1. 鳥の脂粉
  2. 鳥の羽
  3. 鳥のフン
  4. 羽毛布団
  5. ダウンのコート・ジャケット

鳥の羽が鳥アレルギーの原因物質

鳥を飼っていない人は、4の羽毛布団と5のダウン製品だけですが、インコなどの愛鳥家は、飼い鳥の排出物についても触れる機会が多いです。

アレルギーは個人差がありますが、体内に摂取する量が一定量を超えると発症します。そのため、鳥を飼っていない人に比べ、鳥の飼い主は鳥アレルギーになり、鳥関連性過敏性肺炎に発症する確率は高いです。

 

鳥関連過敏性肺炎の症状

鳥関連性過敏性肺炎は、羽毛などに含まれるプルームと呼ばれる鳥アレルギーの抗原物質が、気管支や肺の中に入ります。何度も繰り返されると、免疫機能が抗原物質を異物と判断し、鳥アレルギーを発症します。その結果、自分の細気管支や肺胞を攻撃してしまい、肺に炎症が起こります。肺に炎症が起きることで、以下のような症状が現れます。

  • 息切れ
  • せき
  • 発熱
  • 呼吸困難

鳥関連過敏性肺炎

 

検査方法

鳥関連過敏性肺炎が発症しているかどうかは、鳥アレルギーの検査(血液検査)で調べることができます。

  • セキセイインコ
  • オウム
  • ハト

各鳥種のIgA,IgGなどの免疫の数値を、採血した血液から検査することができます。少しでも症状が見られる場合は、鳥アレルギーの検査を行うことが重要です。

鳥アレルギー検査は採血で行うことが可能

 

鳥関連過敏性肺炎の治療方法

鳥関連性過敏性肺炎は、症状の大きさに応じた治療方法があります。

  1. 軽度の場合:鳥アレルギーの原因物質を避ける
  2. 中程度の場合:ステロイドの投与による治療
  3. 重症の場合:ステロイドパルス療法

東京医科歯科大学の呼吸器内科の宮崎教授の鳥アレルギーの解説

鳥関連性過敏性肺炎を発症すると、鳥アレルギーの原因物質の隔離が求められます。愛鳥家に「家族である飼い鳥をどうするか?」という選択を突きつけられます。治療のため、最愛の愛鳥を手放さなければならないかもしれません。愛鳥との別離を防ぐため、日々の生活での予防が大切です。

 

鳥関連性過敏性肺炎の予防方法

鳥関連性過敏性肺炎を予防するためには、鳥アレルギーの原因物質を摂取しないことが大切です。愛鳥と一緒に暮らしている人は、家のスペースに余裕があれば、人間が過ごす部屋と、鳥が暮らす部屋を別々に分けることがオススメです。

愛鳥がいる空間には、空気中に脂粉や微細な羽が舞っていて、呼吸することで体内に入ります。そのため、空気清浄機を設置して、鳥アレルギーの原因物質を空気中から除去できるようにしましょう。

鳥のいる部屋には空気清浄機で脂粉を除去

さらに、飼い鳥が暮らすケージの清掃などのお世話をする際は、鳥アレルギーの原因物質が大量に舞います。マスクや花粉症用の眼鏡を着用して、体内に入るのを防ぎましょう。

ケージの清掃時はマスクを着用して、鳥アレルギーの原因物質の摂取を防止

また、これは鳥を飼っていない人も共通ですが、羽毛布団やダウンジャケットなどの鳥の羽が使われているものを控えるようにしましょう。冬場は他の人がダウン製品を着用していたりするので、外出時はできるだけマスクを装着しましょう。

 

まとめ・終わりに

今回、鳥アレルギーによって発症する鳥関連性過敏性肺炎について紹介しました。鳥関連性過敏性肺炎は、鳥アレルギーによって肺で炎症が起き、息切れやせき、発熱や呼吸困難が起きる病気です。鳥飼病とも言われ、愛鳥家に多い病気です。

鳥関連性過敏性肺炎を発症してしまうと、完治するためには、鳥アレルギーの原因物質を避けなければなりません。その結果、最愛の愛鳥との別れることになる可能性もあります。そうした事態を防ぐために、日ごろから予防策を行うことが大切です。できるだけ、鳥の身体から出る羽や脂粉などの物質を体内に摂取しないようにしましょう。