オカメインコのヒナに多い「ロックジョー(開口不全症候群)」とは?
オカメインコのヒナが発症しやすい、くちばしが開かなくなる「ロックジョー」という病気があります。クチバシが開くことができなくなった結果、食餌ができなくなり、衰弱して死を招く恐ろしい病気です。オカメインコをお迎えしたい人は、ぜひ知ってほしいロックジョー(開口不全症候群)についてまとめてみました。
ロックジョー(開口不全症候群)の概要
ロックジョー(開口不全症候群)は、英名で「Cockatiel Lock Jow Syndrome(CLJS)」と言います。オカメインコが発症する病気で、くちばしが開かなくなるようになります。クチバシを開くことができなくなると、ごはん(エサ)を摂取できなくなり、その結果、衰弱死してしまいます。
インコ・オウムの中でもオカメインコのみ発症
ロックジョーの特徴的なポイントは、発症対象がオカメインコに限定される点です。さらに、オカメインコのヒナが多く発症します。
ロックジョーの発症原因
ロックジョーを発症する原因は、細菌の感染によるものと言われています。ロックジョーを発症する前に、上部気道疾患(URTD)が先に発症します。URTDの中でも特に、化膿性副鼻腔炎に続発するケースが多いそうです。
先に発症するURTDの病原菌が、ロックジョーを引き起こす原因菌と考えられ、現在の研究では、ボルデテラ(Bardetella avim)が最も重要な原因菌であると推測されています。その他にも多種な細菌やマイコプラズマ、真菌などもロックジョーを発症したオカメインコが保菌していたため、関連性が疑われています。
ロックジョーの症状
ロックジョーの症状は、発症原因となるボルデテラなどの原因菌による炎症がアゴやホホの細胞組織に波及して、アゴが動かなくなることです。
症状の流れとしては、以下の順番で症状が進んでいきます。
- ロックジョーの前に起きる上部気道疾患(URTD)の症状
- 初期症状は無表情、どんより濁った目、半開きの目
- アゴの可動性が徐々に悪化
- 発症から数日でアゴがまったく動かなくなり、口は閉じたまま
- 食餌ができないため痩せ衰え、衰弱
ロックジョーの治療方法
ロックジョーの治療方法は、抗生剤による治療を中心に行われます。クチバシが動かず、口が開かなくなる症状は、炎症によって引き起こされているため、消炎剤も併用されます。抗生剤や消炎剤の投与方法は、内服はもちろん、より効果的に投与するため、ネフライザーも使われます。
クチバシが動かないことで自力で食事を摂取できないため、強制給餌による食事も行われます。
ロックジョーの予防方法
ロックジョーは、免疫能力が低下することで発症し、炎症などの症状が進行していきます。そのため、個体に必要な栄養を適切に与え、環境などを管理することで免疫低下を防ぐことで予防します。
また、発症する前にPCR検査と呼ばれる細菌の保菌状況を調べる検査を行い、ボルデテラやマイコプラズマなどの原因菌を保有していないか確認し、保菌していた場合は摘発・治療によって、ロックジョーを防ぐこともできます。
オカメインコのヒナをお迎えした際には検査を
ロックジョーを防ぐため、オカメインコのヒナをお迎えした際は、獣医などでPCR検査をすることをオススメします。ロックジョー発症前に原因菌が見つかれば、原因菌の摘発治療のみで済み、存命率が高まります。
また、ペットショップやブリーダーからオカメインコのヒナをお迎えする際は、必ずゴハンをしっかり食べているか確認しましょう。あまり食べていない、クチバシを開きにくそうにしている場合、ロックジョーを発症している恐れがあります。家族にお迎えするにあたっては、きちんと確認が必要です。
闘病体験者からのメッセージ
今回、ロックジョーの病気をまとめるに至ったのは、ロックジョーに発症したオカメインコを介護している方からメッセージをいただいたことが発端です。
「ロックジョーはペットショップ店員の中でも知らない人も多く、オカメ飼育者さんの中でも知らない方が多いです。 症状が出て気がついたら手遅れだった等話を色々聞きました。非常に有名なようで一般的にはマイナーな病気だと思います。なので少しでも周りの方に認知されたら治る確率は低くても早期に動ける方も増えるのではないか?」
残念ながら、メッセージをいただいた翌日に、介護していたオカメインコが亡くなられてしまいました。しかし、同じような体験を経験する人を少なくするため、ぜひ多くの人に認知されて欲しいと思いから、ご連絡を下さりました。
まとめ・終わりに
今回、オカメインコのヒナ特有の病気「ロックジョー」を取り上げました。ロックジョーはボルデテラなどの原因菌による炎症がアゴ付近に広がり、クチバシが開かなくなる病気です。クチバシが開かないので、食事ができず、衰弱してしまいます。
しかし、事前に検査などで保菌状況を確認できれば、原因菌の摘発によって発症を防ぐこともできます。また、早期発見できれば、回復する事例も増えてきているそうなので、ぜひオカメインコのヒナをお迎えする人にロックジョーの存在を知っていただければと思います。
※参考文献:コンパニオンバードの病気百科
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