愛鳥の感染症トリコモナスの症状・治療・予防まとめ!セキセイインコも感染が増加
2019年の横浜小鳥の病院のブログで、セキセイインコのトリコモナスの感染事例が増えているとの報告がありました。元々トリコモナスは、文鳥などのフィンチに多い感染症で、セキセイインコの感染は珍しいと言われていました。今回、感染ケースが増えているトリコモナスについて、まとめてみました。
トリコモナス症とは
トリコモナス症は、原生動物である原虫の1つ「ハトトリコモナス」に感染することで引き起こされる鳥の感染症です。人間でも性病の1つに膣トリコモナス症がありますが、こちらとは異なる原虫です。
これらのトリコモナス原虫は、飼い鳥の口の中やそのう、食道に寄生し増殖します。ただ、酸に弱い性質を持つため、胃などの消化器官では生きることができません。そのため、胃以降の消化器官には存在していません。
トリコモナス感染は文鳥が多数
トリコモナスは、多くの鳥類で感染する病気です。飼い鳥の中では、文鳥のトリコモナス感染が最も多いと言われています。
その他にもハトやオカメインコでも感染ケースがあります。ただ、オカメインコについては現在減少しつつあるそうです。またセキセイインコでの感染は稀と言われていましたが、冒頭お伝えした通り、感染が徐々に拡大しています。
トリコモナス症の原因・感染経路
トリコモナス症に感染する原因としては、トリコモナス原虫が鳥の体内に入り、そのうや口の中で増殖することが原因です。感染経路としては、トリコモナスに寄生されている親鳥が吐き戻しによって、ヒナに食餌を与える際に伝播します。吐き戻しは、そのうに蓄えたエサをヒナに与えるので、そのうにいるトリコモナスも一緒にヒナに与えられます。
その他に、飲み水を媒介した感染や、挿し餌器具を使いまわした際に感染することもあります。
トリコモナス症の発症と症状
トリコモナス症は、トリコモナス原虫が寄生していたからと言って発症するわけではありません。宿主の免疫力に左右されます。そのため、免疫力の弱いヒナや幼鳥時に発生するケースが大半です。成鳥での発症は、免疫が落ちている時に発症することがありますが、通常はまれです。発症しないキャリアになることも多く、その場合、周りの個体への感染源にもなります。
トリコモナス症が発症した場合の症状は、軽度の場合、無症状または食欲不振程度です。口腔内の違和感や口内粘液の増加から、しきりに舌を動かしたり、あくびをするような症状、粘液の吐出、首を振るなどが見られます。二次感染を引き起こすと、感染場所に膿ができると、エサの通過阻害やアゴなどの突出が起こります。
トリコモナスの検査・治療方法
トリコモナス症に感染しているかどうかの検査は、そのう検査によって、トリコモナス原虫が存在しているか、顕微鏡で確認します。また、口の中のトリコモナス原虫を確認する場合は、口腔内ぬぐい液を調べます。なお、トリコモナス原虫は、酸に弱く、消化器官では生存できないため、糞便検査では確認ができないです。
トリコモナスの治療は、主にニトロイミダゾール系の抗原虫薬を投与することで、トリコモナス原虫を駆除します。ただ、2次感染や全身に悪化が広がることもあるため、抗生物質や抗真菌剤などの投与を行うことも多いそうです。
横浜小鳥の病院からセキセイインコ感染事例が報告
飼い鳥専門の動物病院「横浜小鳥の病院」のブログでセキセイインコのトリコモナス感染事例が2018年から増加してきていることが報告されました。
感染が進行し、そのう炎を発症する個体も出ているとのことです。動物病院によってはお迎え時の検査項目に、そのう検査が含まれていないところもあるため、自らそのう検査の依頼を呼び掛けています。
トリコモナス症を予防するために
トリコモナス症を予防するためには、感染個体と接触させない対応が基本です。感染個体から吐き戻しや同じ水飲み容器から感染するケースが多いので、感染が発覚した個体とは隔離しましょう。特に成鳥は感染していても発症しないですが、ヒナや幼鳥は免疫力が弱いので注意が必要です。
もし、トリコモナス原虫が寄生しても、すぐにトリコモナス症を発症するわけではないので、そのう検査などで早期発見し、発症する前に治療を行いましょう。
まとめ・終わりに
今回、愛鳥の感染症の1つであるトリコモナス症について解説しました。トリコモナス症はトリコモナス原虫が口内や食道、そのうに寄生して、免疫力が低いヒナや幼鳥で多く発症します。
元々は文鳥などで多く見られ、セキセイインコではまれな病気でしたが、横浜小鳥の病院の発表にもあるように2018年から徐々にセキセイインコの感染事例が増えています。
ただ、感染しても、そのう検査などを行い、早期発見できれば、治療薬によってトリコモナス原虫を駆除できます。ヒナや幼鳥をお迎え時はできるだけ早めに検査を行い、発症する前に治療を行うのがオススメです。
※参考文献:コンパニオンバードの病気百科
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