【放送後追記】1/27の第582回「ダーウィンが来た」はヤシオウム特集~歌う!踊る!ドラムを叩く!
2019年1月27日(日)の19時30分よりNHK総合で放送予定の「ダーウィンが来た!」第582回は、ヤシオウムが特集されます。「オウムが歌う!踊る!ドラムを叩く!!」というタイトルで、ヤシオウムが行うダンスや枝を使って、木の幹をまるでドラムのように叩く様子が紹介されます。
※「ダーウィンが来た!」のヤシオウム特集が放送されました。ヤシオウムの生態について取材した放送内容について、記事に追記しました。
ヤシオウムとは
ヤシオウムは、オーストラリア北部やニューギニアに生息するオウムの一種です。英語名では「Palm Cockatoo」と言います。
ヤシオウムの体長は約50cm~70cm、体重は600g~1kg程度です。個体によっては70cmを超えるものも存在しており、ヤシオウムは21種類いるオウム科の中でも、最大の大きさを持つオウムです。
全体的に黒い羽で覆われていますが、頬の部分は赤い羽になっています。後頭部の見事な冠羽が特徴的です。
第582回「ダーウィンが来た!」はヤシオウム
2019年1月27日(日)の19時半から放送されるNHK総合「ダーウィンが来た!生き物新伝説」は、ヤシオウムが主役です。
「オウムが歌う!踊る!ドラムを叩く!!」という主題で、ヤシオウムの生態や行動の謎に迫ります。他の鳥でも歌うや踊るは聞いたことがありますが、「ドラムをたたく」というのは、これまで鳥が特集された回でも見たことはありません。
見事な後頭部の冠羽のスタイルもあり、ダーウィンが来たの番組予告ではヤシオウムを「パンクロッカー」と紹介しています。
ヤシオウムは野生下で道具を使う珍しい鳥
ヤシオウムは野鳥の中では数少ない「道具を加工して自作し、利用する鳥」です。今回のダーウィンが来たで取り上げられているドラム演奏で使用するドラムスティックも自分で枝から作り上げます。
以前、シロビタイムジオウムが道具を自作したという研究結果が発表されています。しかし、こちらは研究機関で飼育されていた個体で、野生のシロビタイムジオウムではありませんでした。
野生で暮らしている鳥類だと、身の回りの木の枝などを加工して、道具として加工しているのは、ニューカレドニアにいるカレドニアガラスとオーストラリアのヤシオウムが知られています。そのため、ヤシオウムは非常に知能が高い鳥と言われています。
オスがメスへの求愛でドラム演奏?
ヤシオウムのオスは繁殖期になると、メスにアピールするために、歌うや踊るだけでなく、木の枝をドラムスティックのように使い、木の幹をドラムとして、ドラム演奏のような行動を行います。目的は配偶者を見つけることです。
以前のヤシオウムの研究によると、ヤシオウムが奏でるリズムがあり、テンポも一定になっているそうです。また、数少ない道具を自作する生き物、カレドニアガラスなどはエサを取るために道具を作ります。しかし、ヤシオウムはそんな中、音楽を奏でるために道具を自作するということでした。まさにロックなオウムです。
木の枝で幹をたたくのは特定地域のヤシオウムのみ
今回の「ダーウィンが来た!」で特集される、木の枝で幹を叩いてドラム演奏するヤシオウムは、オーストラリアのケアンズから800kmほど離れたロックハートリバーという地域に生息しています。実はこのようなメスへのアピールのためにドラム演奏するのは、このロックハートリバーの地域に暮らす個体特有です。
ヤシオウムはオーストラリア以外にもニューギニアなどに生息していますが、そちらの地域で暮らすヤシオウムは木の枝で幹を叩く行為をしないそうです。
こうした地域によって、行動に違いが生じることから、ヤシオウムを研究している研究者の方は、「ヤシオウムのドラム演奏は文化ではないか?」と仮説を立てているそうです。
ヤシオウムはCITES1の絶滅危惧種
なお、ヤシオウムは、ワシントン条約(CITES)の付属書Ⅰに含まれている絶滅が危惧されているオウムです。ヤシオウムの生態として、一度の繁殖では、卵をひとつしか産みません。1つの卵を一生懸命ペアで育てるため、個体数が増加しにくい傾向があります。
今のところ、すぐに絶滅するという情報はありませんが、将来人類による開発などによって、すみかを奪われるかもしれません。
まとめ・終わりに
今回、2019年1月27日(日)の19時30分から放送される「ダーウィンが来た!」でヤシオウムが特集されることを紹介しました。オーストラリアに生息しているヤシオウムのオスがメスへの求愛行為として、歌ったり、踊ったり、木の枝で幹を叩く様子が取り上げられます。
このような道具を自作するヤシオウムは鳥類だけでなく、すべての生物でも非常に珍しい存在です。ぜひ、どのような演奏が行われるか、ダーウィンが来たをご覧ください。
(放送後追記)ヤシオウムの生態を取材
ダーウィンが来た!のヤシオウム特集がスタートしました。番組では、オーストラリア北部のヨーク岬半島のユーカリが広がる大地に乾季の8月に取材が行われました。取材班は専門家とともに捜索し、全長およそ60cmのヤシオウムを発見します。木の実を食べる際に、くちばしと舌を上手に使って効率よく食事をしていました。
ある朝、オスのヤシオウムが大きな声で鳴いていると、どこからか鳴き声が返ってきました。返事をしたのは、ペアのメスでした。オスメスに見た目に違いはなく、声でコミュニケーションを取ります。さらに、オスが足を木の幹に踏み鳴らして、求愛をアピールします。さらに、羽を広げ合って、繁殖の準備ができているかペア同士で確認します。その姿はまるで社交ダンスのようです。
ある日、研究者のクリスティーナは、地面である枝を発見します。その枝はヤシオウムが落とした枝だとクリスティーナさんは言います。ヤシオウムは枝を持ってやってきて、足で枝をつかみ、木の洞の付近の幹に叩きつけ、ドラム演奏をします。
道具を使う動物に関する言及があり、カレドニアガラスや、サル、ラッコなどが紹介されました。これらの動物は、食事のために道具を使っています。しかし、ヤシオウムは、メスとの絆を深めるために道具を作っています。ペアとのコミュニケーションを取るために道具を作るのはとても珍しい存在です。
さらに、作ったドラムスティックで木をたたくことで、巣として適切か確認を行っています。ヤシオウムはユーカリの木の洞(ウロ)に巣を作ります。子育て中に、木が折れてしまってはいけないので、しっかり頑丈な木か確認しているそうです。
なお、オーストラリアの先住民族のアボリジニの伝統楽器とヤシオウムの音には共通点があります。それは同じユーカリの木が材料であることです。番組ではアボリジニの方がヤシオウムの鳴き声を取り入れた即興演奏が披露されました。
番組で取材を行ったのは、ニーナというメスとナイルというオスでした。その2羽以外にも2組のペアのヤシオウムがおり、縄張り争いが発生しています。太い枝を折り、ドラム演奏することでライバルへの威嚇を行っていました。さらに、別の争いでは、ヤシオウムのペアが息を合わせて鳴くデュエットという方法が行われました。
取材終盤のある日、定期的に森を焼く、野焼きが行われました。しかし、ヤシオウムが暮らすユーカリの巣にも、火が回りました。さらに、火の勢いはますます強くなり、完全にユーカリの木が倒れてしまいました。ただ、産卵前だったので、卵やヒナが被害に遭うことはありませんでした。
別の巣穴候補に落ち着いたヤシオウムのペアでは、オスドラムスティックでの演奏しています。演奏終了後、ドラムスティックを2つに割いて、巣の中に放り込みます。割かれた枝は卵を守るベッドのような役割を果たします。さらに、ヤシオウムの巣は雨を避けられないため、巣の中に入る雨の水はけをよくする効果もあります。
放送の中では、子育ての様子は紹介されませんでしたが、ヤシオウムは一回の子育てで1つのタマゴしか生みません。そのため、できるだけ卵が無事孵化して、成長できるように万全の態勢を整えるとのことでした。今回取材していたニーナとナイルの子育てが成功することを祈っています。
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