インコ虐待で改めて考える動物愛護法の罰則の現状と2019年改正後の比較
Twitterでインコを虐待した動画・写真が投稿されたり、鳥カフェのオカメインコが盗まれ虐待される、といった悲しい事件が起きています。そうした事件が起きたことで、動物愛護法における動物虐待の罰則の現状と、2019年成立の改正内容について、改めて考えてみたいと思います。
動物愛護法での虐待行為への罪と罰則
現在の動物愛護法では、愛護動物に対し、虐待したり、捨てる(遺棄する)ことを禁じています。
- みだりに殺したり傷つける:2年以下の懲役、または2百万円以下の罰金
- 水や食事を与えず衰弱させる:1百万円以下の罰金
- 愛護動物を遺棄する:1百万円以下の罰金
動物への暴行など虐待行為を行った場合に、1番目の刑罰を受けることになります。
NO MORE 映画泥棒との比較
映画館で映画を視聴すると、本編がスタートする前に、公開予定の映画の予告編が流れます。その中に、「NO MORE 映画泥棒!」という映画館での違法行為や映画に対する違法行為について注意喚起するCMも放送されています。この注意喚起の映像を見ていて、ふと感じたことがありました。
「No more映画泥棒」を見て感じたのですが、
・映画の違法録画:懲役10年・罰金1千万円以下
・違法ダウンロード:懲役2年・罰金2百万円以下に対し、現行の動物愛護法の動物虐待・殺害は、
「懲役2年・罰金2百万円以下」=違法ダウンロードと同じ動物の命を奪う罪の罰則が軽すぎだと思いませんか? pic.twitter.com/Jh1YwwHReS
— インコ生活 (@inkolife) 2019年6月29日
動物への虐待・殺害の罪を犯した人の刑と、映画の違法ダウンロードの刑が同等になっています。
違法ダウンロードの罪が重いというわけではなく、動物虐待の罪が軽すぎるのではないかと考えます。
2019年の動物愛護法の改正、2022年までに施行
2019年6月12日に改正動物愛護法が参議院本会議にて可決されました。改正のスケジュールですが、以下の通りとなっています。
- 2019年6月12日に改正動物愛護法が成立
- 改正された動物愛護法は6月12日から30日以内に公布
- 公布から3年以内に改正動物愛護法が施行
※公布:成立した法令の内容を広く国民に知らせるために公示すること
※施行:法令の効力を発生させること(国語辞典より)
そのため、2022年7月12日までに改正された動物愛護法が施行されます。
改正動物愛護法では、虐待行為が厳罰化
改正される動物愛護法では、犬・猫へのマイクロチップ装着義務化に加え、動物虐待の罰則強化が行われました。
虐待罪(殺傷)の法定刑が、前述に紹介した上限から変更されます。
- 改正前:2年以下の懲役、または2百万円以下の罰金
- 改正後:5年以下の懲役、または5百万円以下の罰金
改正前と比べると、倍以上の量刑となっています。
厳罰化も、まだまだ罰則は映画録画に満たない
しかし、厳罰化されたと言っても、NO MORE映画泥棒!における「違法録画」の量刑の半分以下の状態です。まだまだ動物虐待は量刑的に軽いと言わざるを得ません。
現状の法律では動物はただのモノではなく、「命あるモノ」と定められています。しかし、まだまだ法律上の扱いは、物の延長線上です。
しかし、日本と生き物とのかかわり方は変化し、今では家族の一員になっています。
そうした時代に合わせた形に法律も転換しなければいけない時期が来たのではないかと考えています。
まとめ・終わりに
今回、動物愛護法の動物虐待の罰則と、映画の注意喚起CM「NO MORE映画泥棒!」を比較してみました。
現状の動物虐待の罰則は、映画における違法ダウンロードと同レベルです。2019年改正では厳罰化されましたが、映画の違法録画よりも低い状態です。
動物愛護法が初めて施行された1973年から、日本人と動物との関わりは変化し、ペット=家族と言える存在になってきています。
そうした社会の変化に合わせて、生き物の法律上の扱いも現状の「命ある物」から一歩進んだものに変化に発展させなければいけないと考えます。
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