2020年11月25日鳥メディア
2020年11月29日にNHK総合のダーウィンが来たにて日本にも生息するコアジサシが取り上げられます。
「東京で復活中!絶滅危惧種コアジサシ」というタイトルで、東京・羽田の空港近くで繁殖活動を行い、個体数を回復させようとするプロジェクトに密着します。
今回、ダーウィンが来たのコアジサシ特集の放送内容をまとめたいと思います。
※コアジサシ特集が11月29日に放送されたので、放送内容を追記しました。
11月29日放送の「ダーウィンが来た」概要
- タイトル:「東京で復活中!絶滅危惧種コアジサシ」
- 放送日:2020年11月29日(日)19:30~19:58
- 放送局:NHK総合
- 番組HP:ダーウィンが来た!(NHK)
絶滅危惧種の貴重な海鳥、コアジサシ。その日本屈指の繁殖地は、なんと東京・羽田。しかも空港のそばの巨大な建物の屋上だ。大都会を舞台にした前代未聞の復活作戦に密着!
日本に生息するコアジサシ
コアジサシはチドリ目カモメ科に属する鳥です。
体長は24~28cm程度で、翼開長は約53cmほどで、アジサシよりもやや小型です。
身体全体は白い羽に覆われていて、翼は灰色の羽が生えており、頭部は黒色となっています。
魚を捕らえるために尖った形状で鮮やかな黄色のクチバシが特徴的です。
通常時はオーストラリアやオセアニア、東南アジアなどの暖かい地域で生息しています。
春から初夏にかけて、日本に渡ってきて繁殖を行う夏鳥です。
絶滅危惧種のコアジサシ復活プロジェクト
そんなコアジサシですが、現在は個体数が減少しています。
原因は繁殖地となる河川の中州や海岸の砂浜が、開発や環境変化によって少なくなってしまっているためです。
環境省もコアジサシに対し、絶滅危惧種Ⅱ類に指定しており、絶滅の可能性が高い種と捉えています。
そんなコアジサシを復活させるために、リトルターンプロジェクトという保護活動が行われています。
※コアジサイの英名がリトルターン(Little Tern)のため
今回のダーウィンが来た!では、コアジサシを保護するリトルターンプロジェクトの活動を密着取材しています。
放送で紹介されたコアジサシの繁殖地は先ほど紹介した河川の中州や海岸の砂浜ではなく、なんと東京・羽田にある空港近くのビルの屋上です。
なぜ、そのようなビルの屋上で繁殖を行うようになったのかも気になるポイントの1つです。
リトルターンプロジェクトでは、コアジサシに似せたデコイを設置するなど、様々な工夫を凝らしてコアジサシが繁殖・子育てできるように保護活動を行っています。
このデコイは、小笠原諸島のアホウドリの保護活動でも効果を発揮し、繁殖成功に導きました。
そうした保護活動が実り、無事にコアジサシのヒナたちが巣立つことができるのでしょうか?
野生インコ写真家・岡本勇太さんも撮影協力
今回のコアジサシ特集には、野生インコ写真家でお馴染みの岡本勇太さんも撮影協力されています。
今回、岡本さんはリトルターンプロジェクトの会員に加え、ダーウィンが来たの撮影クルー・ロケハンクルーとして参加されたそうです。
放送でも岡本さんが撮影された写真や映像が流れるかもしれないので、そちらも楽しみです。
※岡本勇太さんの野生インコ写真集「インコのびのび」の紹介記事↓
「インコのびのび」の書評・レビュー!岡本勇太氏の野生のオカメ・セキセイの写真集
以前に同じ仲間のセグロアジサシも特集
以前2020年7月12日のダーウィンが来たでも、同じアジサシのセグロアジサシが取り上げられました。
【放送後追記】7月12日のダーウィンが来たはセグロアジサシ特集!魚(ロウニンアジ)が海鳥を襲う?
インド洋にうかぶセーシェル諸島で、海鳥を襲うロウニンアジの襲撃を交わしながら、100万羽近くで子育てに取り組む様子が紹介されました。
放送後にセーシェル諸島に近いモーリシャスにて貨物船による石油流出事故が発生しました。
石油流出によるセグロアジサシの生態への影響が心配されます。
(追記)コアジサシ特集の放送内容
東京の空の玄関である羽田空港の目の前に広がる海にやってくる鳥たちがコアジサシと紹介されました。
コアジサシは25cmほどのカモメの仲間で、オーストラリアやニュージーランドから繁殖のためにやってきます。
コアジサシは羽田の海に次々にダイブし、大好物の小魚の狩りを行います。
浅瀬が広がる羽田沖には、ボラやアジの小魚がたくさんいるため、エサが豊富だそうです。
空中でストップするホバリングして獲物に狙いを定めたあと、一気に海に突入して魚を捕らえます。
それから、コアジサシは空港近くのビルの屋上へ飛んでいきました。
屋上には砂利が敷き詰められており、レンガやパイプのようなものが設置され、ただの屋上ではなさそうです。
砂利の上にコアジサシが座っているとおもっていると、中には偽物の模型が混じっています。
本物のコアジサシの下には卵があり、抱卵をして子育てを行っていました。
この場所は水道局の建物で、日本最大のコアジサシの繁殖場となっています。
コアジサシの保護プロジェクト「リトルターンプロジェクト」
リトルターンプロジェクトは都会にコアジサシの繁殖場を作ろうとする、世界的にも珍しいプロジェクトです。
コアジサシたちが夏鳥でやってくるころになると、繁殖地であるビル屋上に1000個以上のコアジサシの模型を設置したり、鳴き声をスピーカーで流したりします。
コアジサシは群れ・仲間で子育てを行うため、模型や鳴き声につられてこの繁殖地にやってくるそうです。
今ではたくさんのコアジサシがこの羽田のビル屋上で繁殖するようになりました。
もともとはこの場所の屋上にコアジサシの卵が転がっていたのが始まりでした。
屋上のコンクリートの上では卵が転がってしまい、孵化できないため、砂利を敷き始めました。
2001年に繁殖が確認されたことで、東京都や大田区を巻き込んでのコアジサシの保護プロジェクトがスタートしました。
さらに、強烈な日差しからヒナを守るためのレンガのシェルターを作りました。
今では数百羽ものコアジサシが子育てを行う一大繁殖地になりました。
コアジサシの子育て
コアジサシは夫婦で子育てを行い、一方が卵から離れると、もう一羽が交代で卵を温めます。
子育てをしていると、複数のカラスがやってきて卵を狙ってきました。
残念ながら、1つの卵は奪われてしまいますが、もう1羽のカラスには群れ全体で威嚇することで追い払うことに成功しました。
コアジサシの模型が鳥たちを救う
番組で紹介されたコアジサシの模型を作っているのが千葉県我孫子市の中学校だそうです。
ここで野鳥彫刻家の内山さんが中学生に指導しながら、模型を作っています。
内山さんが製作された鳥の模型によって、タンチョウの人工飼育やアホウドリの繁殖に一役を買っていると紹介されました。
ヒナのピンチに意外な秘策?
コアジサシのペアから無事2羽のヒナが孵化しました。
最初は歩くのもおぼつかない状態ながら、親鳥がもってきたごはんの小魚をすごい勢いで食べます。
親鳥もヒナに食事を持ち帰るため、必死に狩りをします。
多いときには1時間に10回もダイブして魚の狩りを行うそうです。
生まれてわずか2,3日でヒナは歩き回れるようになりますが、その時が危険な時期とのことだそうです。
猛禽類のチョウゲンボウが繁殖地の近くにやってきます。
チョウゲンボウも子育て中の親鳥のため、コアジサシの群れによる威嚇にもひるまず、ヒナを連れ去ってしまいました。
親鳥も追いかけるものの、為す術がなく、つぎつぎとヒナに襲いかかり、多くのヒナが命を落としてしまいました。
この年は繁殖地に集まった群れが少なかったため、追い返す力が弱かったことに加え、チョウゲンボウもコアジサシのヒナがいることを覚えてしまった可能性があるとのことです。
そこで、リトルターンプロジェクトでは、ヒナを守るために見守るくんという上空からヒナを隠すための装置を設置しています。
さらに強い日差しから身を守るためのレンガのシェルターが天敵から逃れる役割も果たしています。
ヒナは成長し、渡りに向けた準備へ
7月の夏を迎えたヒナは元気いっぱいで少しずつ大人の羽に生え変わってきています。
繁殖期間が長いコアジサシは、この時期でもヒナの成長度合いがまちまちです。
親鳥のお世話によってコアジサシのヒナは生まれて3週間で飛べるようになります。
これからは親鳥と一緒に海に出て狩りの練習を始めるそうです。
8月になると、千葉県の干潟に東日本で繁殖を行ったコアジサシがやってきます。
狩りをする若鳥は大きな魚に驚いたりしながら、狩りの技を学んでいきます。
2000羽近いコアジサシは長旅に備え、しばらくここで栄養を蓄えます。
9月には冬を越すため、南半球に旅立ちます。
「はるばる数千キロの旅をして、大都会・東京の海にやってくるコアジサシ。いつまでも元気な姿を見せてほしい」
というナレーションで放送が締められました。
まとめ・終わりに
今回、2020 年11月29日放送予定のダーウィンが来た!「東京で復活中!絶滅危惧種コアジサシ」を紹介しました。
東京・羽田のビルの屋上を繁殖地に様々な道具を駆使して、コアジサシの繁殖・子育てに成功させて個体数の回復に挑むプロジェクトを取材した放送です。
無事にコアジサシの繁殖に成功し、ヒナたちは成長することはできるのか?
ぜひ、11月29日19:30のダーウィンが来た!をご覧ください。
ディスカッション
コメント一覧
まだ、コメントがありません