NHK鳥語講座「明日から使える楽しい鳥語」がダーウィンが来たで放送(2021年5月23日)
2021年5月23日(日)19時30分にダーウィンが来た「聞いてびっくり!鳥語講座」が放送されました。
冬山で異なる種類で群れを作る鳥たちの間で、単語だけでなく文章のコミュニケーションが行われていたというとても驚きの放送内容でした。
NHK鳥語講座「明日から使える楽しい鳥語」byダーウィンが来たがどんな内容か紹介します。
ダーウィンが来たらしからぬ「NHK鳥語講座」
2021年5月23日に放送されたダーウィンが来た「聞いてびっくり!鳥語講座」は、ダーウィンが来たの始まりとは打って変わって、NHKでお馴染みの語学の講座のようなスタートでした。
ダーウィンが来たのナレーションを担当されている中山果奈アナウンサーが講師役として登場し、今日から使える鳥語講座をスタートしました。
そこにダーウィンが来たの名物キャラクターひげじいが登場し、ツッコミを入れるという普段のダーウィンが来たとは雰囲気が違う始まり方でした。
冬の森で異なる種と群れで暮らす鳥たちが登場
冬の長野県軽井沢の森の映像とともに鳥たちの鳴き声が流れたあと、シジュウカラが登場しました。
シジュウカラは胸のネクタイ模様が特徴のスズメほどの大きさの鳥との解説がありました。。
さらにその他にも鮮やかなオレンジ色がきれいなヤマガラ、黒い帽子をかぶったようなコガラが、カラ類として紹介されました。
これらのカラ類の鳥類が集まったのが「混群」となり、異なる種類も含め、行動をともにするそうです。
メンバーはカラ類のシジュウカラ、ヤマガラ、コガラ、ヒガラに加え、ゴジュウカラ、エナガ、コゲラ、メジロも加わります。
最近、混群の鳥たちが言葉を使ってコミュニケーションをとっていることが研究で分かってきました。
混群の鳥たちが言葉を使ってコミュニケーション
ただ鳴いているようにしかみえない鳥たちですが、実は言葉を使ってコミュニケーションしていることが分かってきました。
ここで、15年以上鳥の鳴き声を研究されている京都大学白眉センター・鈴木俊貴博士が登場しました。
以前放送されたシジュウカラの特集回でも、その言語能力について解説されています。
鈴木博士の研究は中学校の国語の教科書にも掲載され、まさに鳥語博士です。
鳥語講座 基礎単語編①
- コガラの言葉:ディーディーディー
- 意味:集まれ
ディーディーディーを聞くと、コガラの後をヤマガラやシジュウカラがコガラを追って移動をはじめました。
移動した先には、松の木があり、松ぼっくりの中の種を食べ始めました。
このコガラの「ディーディーディー」は集まれという意味で、混群の中で餌を見つけると知らせ合うためにコガラが発します。
なお、同じ集まれという言葉も鳥の種類によっては鳴き声が異なります。
- シジュウカラ:ヂヂヂヂ
- ヤマガラ:ニーニーニー
- ゴジュウガラ:フィフィフィ
種が違う鳥の鳴き声が異なっても、混群の鳥たちは言葉の意味を理解しているとのことでした。
ひげじいから混群を作る理由の質問
ひげじいから「なぜ別種と混群をつくるのか?」という質問があがりました。
質問に対する解答は「いろんな種が集まった方がなにかと便利」とナレーションが流れました。
- お互いに食べ物場所を教え合えば効率的
- いろんな場所に仲間がいれば天敵に気づきやすい
暮らす場所が違う異なる鳥種たちが群れを作ることで、上記のようなメリットが生まれるため、混群を作ると解説されました。
鳥語講座 基礎単語編②
- シジュウカラの言葉:ヒーヒー匕ー
- 意味:タカが来た
木の周りに鳥たちが集まっているところで、シジュウカラのヒーヒー匕ーの鳴き声が発せられました。
ヒーヒー匕ーを聞いた鳥たちは木立の裏に慌てて逃げ込むように移動しました。
天敵であるタカが来たことを混群の仲間に伝え、タカの存在を知らせあっています。
群れの誰かがこの鳴き声を発すると、混群の他の仲間も同じ意味の鳴き声を発し、タカの存在を伝えます。
森の鳥たちにとって、タカは最も怖い天敵なので、地表にいる鳥はヤブの中に逃げ、木の幹にいるのはその場で固まり、上空を確認します。
なお、それぞれの種類が発するタカが来たの鳴き声を解析したところ、似た周波数の構成になっていることが分かりました。
そのため、鳴き声は違うものでも、同じ意味だと周波数の点で似ているという特徴があります。
タカが聞き取りにくい、7kHz帯の鳴き声で、天敵は聞き取りにくく、仲間には聞き取れるという工夫を凝らしています。
鳥語講座 文章編
次は単語からレベルアップして、単語を組み合わせる文章編です。
文章を操るのは人間以外には見つかっていない高度な能力となっています。
鳥語の文章の実験として、混群がいるエリアにモズの剥製を設置したところ、モズを発見したシジュウカラが以下の文章を発しました。
- シジュウカラの文章:ピーツピ ジジジ
- 文章の意味:警戒しながら集まれ
この鳴き声は「警戒しろ」という意味のピーツピと、「集まれ」という意味のジジジを組み合わせた鳴き声です。
すると、混群にいる鳥たちがモズの剥製の近くに集まってきました。
羽を素早く動かすことで俊敏さをアピールし、捕まらないぞとアピールします。
混群の総力を結集し、モズに威嚇しているのですが、こうした対応は文章が必須です。
集まれだけだと、天敵に捕まる可能性があり、警戒だけだと団結ができません。
警戒と集まれを組み合わせる文章を使うことで、天敵と戦うことができます。
鳥語講座 言葉の裏技編
鳥語講座の言葉の裏技編を使うのは、混群の中で最も小さいガラ類のコガラです。
混群でもエサを求めて争いが起きますが、そんな時最も身体が小さいコガラは、大きいシジュウカラやゴジュウカラに追いやられてしまいます。
そこで、コガラは裏技として、先程紹介された「ヒヒヒ匕」と鳴き声を上げました。
「ヒヒヒヒ」の鳴き声の意味は「タカが来た」です。
その鳴き声を聞いてエサ場にいた群れの鳥たちはいっせいに避難します。
その隙をついて、コガラは見事エサを食べることに成功します。
まさかの鳥たちも鳴き声でウソを発することで、エサをゲットするというまさに裏技です。
ただ、この裏技は注意が必要で、使いすぎると他の仲間もウソと見抜くようになります。
まさに人間でいうところの「オオカミ少年」のようなエピソードで、鳥と人間の近さを感じざるを得ませんでした。
種をこえたつながり
最後の章では、言葉を使う鳥と他の種族との関係性が取り上げられました。
撮影されたのは北海道の自然で、そこにはエゾリスが登場しました。
エゾリスが動いていると、どこからか放送で紹介された、シジュウカラたちの「タカが来た」ことを表す鳴き声が聞こえてきました。
その鳴き声を聞くやいなや、エゾリスは大急ぎで駆け出し、木の洞に隠れ込みました。
なんと、シジュウカラの言葉の意味をエゾリスが理解し、天敵が来たことを察知したのです。
異なる種類の鳥同士だけではなく、鳥類と哺乳類とまったく別の種類でも言葉による繋がりが形成されていることにとても驚きました。
まとめ・終わりに
今回、2021年5月23日に放送されたダーウィンが来た「聞いてびっくり!鳥語講座」の放送内容を紹介しました。
冬の森では、異なる種類の鳥たちが群れをつくり、エサの収集や天敵の察知で協力して暮らしています。
そんな中ではカラ類を中心としたシジュウカラやコガラ、ゴジュウカラが互いの鳴き声の意味を理解し合い、コミュニケーションを行っています。
単語レベルの言葉から単語を組み合わせた文章の鳴き声まで駆使し、情報を伝達して天敵に備えたり、餌を探し出しています。
さらに、そのうち言葉を嘘として使う「オオカミ少年」のような技を使い、餌を手に入れる個体も紹介されました。
人間以外に言葉だけでなく、文章を扱う身体の小さな小鳥たちに、人間との共通点を強く感じた素晴らしい放送でした。
※現在、今回の放送回はNHK+で見逃し配信中です!
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