飼い猫の狩猟本能による野鳥・野生動物の被害!家猫は完全屋内飼育が基本

2018年6月4日鳥ニュース

飼い鳥の狩猟本能による野鳥・固有種への被害

Twitter上のネコを飼っているユーザーが、スズメなどの野鳥や小動物を捕らえてきた画像をアップした件が話題になっています。こうした家猫による野生動物の狩猟は、野鳥の個体数の減少を招き、さらには生態系の破壊へとつながります。飼い猫の狩猟本能と飼育のあるべき姿について考えてみたいと思います。

 

飼い猫による野鳥・小動物の狩猟被害

Twitter上に、飼いネコが屋外で野生の小動物や野鳥を狩猟してきて、飼い主に見せている写真をアップした件が話題になりました。アップしたユーザーは、「猫には狩猟本能があり、鳥やネズミを狩るのは当たり前」と、野性動物を狩猟することが悪い理由がわかっていないようでした。

飼い猫の外飼いによって野鳥や小動物が狩猟される被害

 

外来の捕食動物による生態系の破壊

基本的に日本には、元々猫は、沖縄の西表島のイリオモテヤマネコのような山猫を除き、野生にはいませんでした。しかし、今では猫がペットとして一般的になりましたが、それでも猫は、元々の日本にいた固有種から見れば、外来種の侵略動物です。

今まで日本で暮らしてきたスズメなどの野鳥にとって、猫は脅威以外の何者でもありません。猫の狩猟能力にかかれば、空を飛べる鳥でも狩られてしまいます。その結果、個体数が減少し、固有種の絶滅に繋がります。

飼い猫・家ネコに狙われるスズメなどの野鳥

過去にもこうした外来生物による生態系の破壊は、繰り返されてきました。

 

生態系が破壊されることの重大性

生態系が破壊されることの重大性というのは、理解されにくいです。スズメがいなくても困らないという声もあります。しかし、生態系というのは、微妙な関係性の上で成り立っています。もし、スズメがいなくなることで、関係性が崩壊し、害虫の大量発生など、人間が困るという事態も起きかねません。

かつて、お隣の中国では、国の指導者・毛沢東によって、四害駆除運動と称して、スズメの駆除が行われました。たった数日で40万羽のすずめが駆除されました。その結果、スズメが捕食していたハエやイナゴが、すずめがいなくなったおかげで大増殖し、農作物に大打撃が起きました。このように野生動物というのは人間の生活に見えないところで密接に関わっています。

 

飼い猫は屋内での飼育が基本

かつては飼い猫は外飼い・放し飼いが当たり前でした。しかし、最新の猫の飼育方法は、完全屋内飼育が基本です。すなわち、ベランダなどの住居の範囲内の屋外にも出さず、室内のみの生活させる飼育が当たり前になってきています。

飼い猫は完全屋内飼育で外に出さない飼育方法

そのため、行動を管理できない状態で、飼い猫を外に出す行為は、誤った飼育方法であると言えます。

「猫には狩猟本能がある」といい、野生動物の狩猟を正当化する人もいます。しかし、そうした猫の狩猟本能を満たしてあげるように、遊びや飼育を工夫することは飼い主の義務です。

 

屋外では交通事故や感染症のリスクも

屋外に出すことは、野性動物だけでなく、飼い猫にとってもリスクがあります。外には自動車などの危険なものがたくさんあります。交通事故では何匹もの猫が死んでいます。さらに、ボンネットの中や、タイヤの隙間に入り込んだ状態で、自動車が発車して亡くなるケースもあります。

猫の外飼いは交通事故や自動車の事故のリスク

さらに、狩猟対象となる野生動物が、病気を抱えていることもあります。そうした場合に、その生き物を狩った猫が病気に感染する大きなリスクもあります。

 

ドイツでは、外にいる猫の駆除も

ヨーロッパの環境先進国であるドイツでは、屋外にいる猫や犬は、野生の鳥獣を脅かす存在としてされます。きちんとリードが着いていない=管理されていない猫は、住宅地から300メートル以上はなれた場所であれば、駆除することが法律的に認められています。

ドイツでは外猫の狩猟・駆除が法律で認められている

こうした合法的な猫の狩猟には、もちろん批判の声もあります。しかし、野性動物を保護するため、生息を脅かす存在を駆除することがドイツで行われていることは、知っておくべきポイントだと考えます。

 

まとめ・終わりに

今回、SNSで話題になっている飼い猫の外飼いでの狩猟問題を取り上げました。猫の狩猟による野鳥・固有種への被害はとても大きなものになっています。それによって個体数の減少、ひいては絶滅の可能性が浮上しています。そうした野生動物への被害によって生態系が崩れることもあります。

猫の飼育は屋外に出さない「完全屋内飼育」が基本です。猫の狩猟本能は、遊びや飼育法によって飼い主が満たしてあげる義務があります。外飼い・放し飼いをしている人は、一度、適切な飼育方法を鑑みてください。