神奈川・等々力緑地でワカケホンセイインコのねぐらの木の枝が全て剪定!川崎市の委託業務
ワカケホンセイインコの生息地となっている神奈川県・川崎市の等々力緑地で、ねぐらになっているイチョウの木の全ての枝が1月18日頃より剪定作業が始まりました。
木々の剪定は定期的に行われていますが、作業件名に「インコ対策」という文字があり、行政によるワカケホンセイインコの対応と見られます。
※記事に掲載した写真は現地で作業されていた委託業者の方の許可を取った上で撮影しています。
川崎市の等々力緑地でワカケホンセイインコのねぐらの木が剪定
2022年1月18日に神奈川県の川崎市にある等々力緑地のワカケホンセイインコねぐらの木が剪定されたとの情報が入ってきました。
翌日1月19日の早朝に剪定された木を撮影した写真を岡本勇太さんから提供いただきました。
ワカケホンセイインコがねぐらとしていた木の下には、剪定作業によって切られた枝が大量にある状態です。
木の状態を見ても、生えていたほぼ全ての枝が切られており、これではワカケホンセイインコのねぐらとして利用できません。
看板の作業件名に「インコ対策」と明記
今回の川崎市中原区にある等々力緑地のワカケホンセイインコのねぐらの木の剪定作業では、、剪定業者が作業エリアに以下の看板を設置していました。
作業件名は「等々力緑地内テニスコート周辺インコ対策剪定業務委託」と書かれています。
そのため、ワカケホンセイインコの対策で木の剪定が行われたことは明らかです。
剪定作業の関係者コメント
今回、インコ生活ではワカケホンセイインコのねぐらの剪定作業の詳細について情報提供を受けました。
情報提供者はワカケホンセイインコのねぐらの木があった川崎市の等々力緑地を訪ねられ、剪定作業の経緯を確認されました。
その中で、今回の「等々力緑地内テニスコート周辺インコ対策剪定業務委託」の関係者にヒアリングされました。
- 今回は「川崎市」からの委託
- 剪定された木はいずれもイチョウで、程度の剪定は木にとっても必要である
- 昨年もヒマラヤスギの強剪定をしている
- 5-6年前も剪定をしたらインコが来なくなったという話があった
- これまでも、他業務のついででインコが利用していた木を度々剪定しているらしい
- ワカケホンセイインコの報道後、基地局に多くの苦情が入り、川崎市から中原区が怒られている状態
- これまで通りの状態に戻るには数年かかるが、夏にはある程度の枝と葉が戻ってくる
剪定業務の委託元は、等々力緑地がある川崎市であることが分かりました。
イチョウの木の剪定作業自体は、木のメンテナンスをする上で必要なもので、他の杉の木でも行われています。
しかし、今回の剪定は、「インコを追い払うことが目的」であることは関係者による情報からも一致しています。
※剪定作業は1/22または1/23までに完了する予定になっているとのことです。
ねぐらを失ったワカケホンセイインコの生息域拡大が懸念
等々力緑地にあるイチョウの木が剪定されたことで、ワカケホンセイインコの群れはねぐらを失いました。
日が沈み始めた夕暮れごろの写真ですが、ワカケホンセイインコの姿はありません。
ワカケホンセイインコのねぐらへの対策行為によって、心配されるのは生息域の拡大です。
確かに、ねぐらの木の枝をすべて切ることで、ワカケホンセイインコは生息できなくなりません。
しかし、ワカケホンセイインコたちは生き延びるために、他の地域に新しいねぐらを探します。
その結果、これまで生息していなかったエリアにワカケホンセイインコが進出する可能性があります。
ワカケホンセイインコの生息域が拡大すれば、さらなる個体数増加にも繋がりかねません。
ワカケホンセイインコを調査する阿部仁美先生へインタビュー
インコ生活では、過熱するワカケホンセイインコの報道を受け、調査に基づいたワカケホンセイインコの情報を伝えたいと考え、専門家へのインタビューを行いました。
千葉科学大学の阿部仁美先生にワカケホンセイインコに関する調査や気になる点をお聞きし、記事にまとめました。
こうした調査に基づく詳細な情報を多くの方に読んでもらおうと思っていたところに、ワカケホンセイインコのねぐらの木が切られたことは残念でなりません。
まとめ・終わりに
2022年1月18日ごろより川崎市に委託された業者によって、ワカケホンセイインコがねぐらにしていた神奈川県川崎市の等々力緑地内のイチョウの木が剪定されました。
すでにイチョウの木に生えていた枝のほぼ全てが切られてしまい、ワカケホンセイインコがねぐらに活用できない状態になっています。
等々力緑地をねぐらにしていたワカケホンセイインコがどこに移るのか?
今回の剪定作業によって、ワカケホンセイインコの生息域が拡大し、さらなる個体数増加すると、在来種への影響も心配されます。
今後、ワカケホンセイインコが別の場所にねぐらを移した際に、同じように剪定作業が繰り返されないことを願うばかりです。
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ディスカッション
コメント一覧
>今回の剪定作業によって、ワカケホンセイインコの生息域が拡大し、さらなる個体数増加すると、在来種への影響も心配されます。
ワカケホンセイインコの生息域が拡大すると、個体数増加するのはなぜでしょうか?
密度が低くなれば、繁殖の可能性も減りませんか?
間違ってたら申し訳ないですけど、記事の中に同じことが2回書いてあったにもかかわらず、理由がなかったので書きました。
元はと言えば、在来種ではない鳥が増えていくのは、逃げたまたは逃したか捨てた人間のせいですよね。
インコたちは、命の危険がすぐ隣にある厳しい環境で過ごすより、誰かに飼ってもらえた方が良いのではと思います。
鳥においては、犬やネコのように保護活動してくれる人たちがいないんでしょうか?
インコ生活管理人さん、行政を責めるだけの文章としか読めなかったのが残念です。
>文鳥好き様
コメントありがとうございます。
>ワカケホンセイインコの生息域が拡大すると、個体数増加するのはなぜでしょうか?
食物連鎖の関係もあり、自然界では一定の生息域で維持できる個体数は概ね決まっております。
かつての人類も同じように、人口を増やすために住む土地を拡大させた歴史があり、同じ考えで生息域拡大=個体数増加という理由です。
他にコメントいただいた内容については記事内にも紹介していますが、
下記のワカケホンセイインコを研究されている記事をお読みいただければ幸いです。
ワカケホンセイインコ野生化問題について研究者・阿部仁美先生へインタビューで解説